映画「あなた、その川を渡らないで」トークイベントにジャズシンガー綾戸智恵登壇!

3日、シネスイッチ銀座にて現在絶賛上映中、76年に及ぶ一途なある夫婦の愛の形を映し出す韓国で社会現象となったドキュメンタリー「あなた、その川を渡らないで」のトークイベントが開催され、ジャズシンガー綾戸智恵が登壇した。

本作をいち早く鑑賞した綾戸は、“半人前同士でひとつになる、そんでひとりとひとりでひとつになる。え合うとはコレや!昔なら映画にならへん事、今感動と共に気づくんや。”と本作の主人公夫婦へコメントを寄稿。結婚・離婚を経験した綾戸は、自身の波乱万丈な人生を交えながら、この幸せな純愛物語について語った。

◆トークイベント

—映画の印象はいかがですか?

お隣の国の話ですが、どこの国でも高齢者の話が多くて、そして夫婦の話です。これは私の母の言葉ですが「いずれ人間は生まれたら死ぬ」。そのプロセスの中で幕引きの話です。おじいさんとおばあさんの話ということではなく、スターの二人を登場させて私達の生活の中にあるひとときと思いました。

—この作品は、元々貧しい生活をされていたのですが、おじいさんと綺麗な服を着たいという事を奥さんが発案されて、それが韓国で話題となりドキュメンタリーとなって、それを見た本作の監督が、夫婦の1年を撮ってみようと言う事で撮られたのですが、お二人のペアルック、韓服を着ていらっしゃるのですがどう思われましたか?

そうですね。二人は好き者同士で結婚するのではなくて、江戸時代のように、14歳くらいのお嬢ちゃんで結婚するわけで、隣の国ではよくあることなのかなぁと思いましたね。お嬢ちゃんの親に頼まれて一緒になった二人が夫婦になっていくのですが、日本ではあまりない話なのですが、日本でもこういう風にしようかと思う方が出てきたら面白いと思いますね。

—おばあさんは、ちょうど綾戸さんのお母さんの年齢ぐらいですよね。

そうですね。ストーリーを聞くと200年くらい前の話のようですが、「今」なんですね。日本人って今、当たり前の定義にはめ込まれている時代に生きているように思うのですね。こういう立場だと「こうでないとダメ、ああでないとダメ。」とか。その中で、今日は、映画を観て人間がなんでもありの部分もあったやなぁって、人間が好きになってきましたね。夫婦って他所の女の子が気になったりとか、色んなシチュエーションがあると思うのですが、映画の二人は二人っきり。今日は「遊ぼうか?」って、日本人が忘れているような夫婦のあり方の1つで、これもええんちゃいます?

—韓国でも核家族が進んで、おばあちゃんを知らない世代もいる中で、若い世代から見るとあこがれの夫婦でもあるようなのですね。

そうですね。なかなかないような夫婦ですよね。

—綾戸さん、朝日新聞で人生相談もされているのですが、最近どんなアドバイスをされましたか?

「うちの息子40歳過ぎたのに結婚しませんのや」というのや「私、60歳ですけど、そろそろ離婚したい」とか色々悩みありますよ。それはそこに行くまでには、家族、夫婦の色んな形がありますので、大きなことは言えませんが、一番面白いこと言うか共通しているのでは、誰が作ったわけでもないのに「こうであらねばない」とかがありますよね。桃太郎で言えば、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川で洗濯に。もっと進歩的に、お父さんが洗濯に行って、お母さんが山へ行くとか「仕事の分担」ではなく、「人間が知り合ってどんな風に最後を遂げるか、そして新しい命を作るのか」そういう一番の目的が失われて、「夫婦とはこうあらなければならない」って型に一生懸命自分をはめ込むから辛くなる。私は夫婦というのを多分、1年以上続けてないので大きな事は言えないのですが、周囲の夫婦や人生相談を見ていると「守らなくてもよい常識」があるのですよ。誰が決めたわけでもないのにね。

—夫婦がうまくいく秘訣ってどう思われますか?

私は、母が偉大すぎて。母からもらった色んな知恵が、30歳になって「あぁ」、40歳になって「あぁー」って今頃になって、ポコポコ色な事がわかってくるんですよ。両親、親、周りの友達からとか、人はやはり人の影響で行動していくのではないでしょうかね。今日この映画を観て、隣の国の話というのをこんな風に観れて、すごい財産であって、映画こそがいい夫婦になっていくいい資料なのではないかと思いました。

—おじいさんの男性が本当に優しくて、夜、トイレが怖いだろうから一緒について行ってあげて、外で歌まで唄って待ってる優しさがね。

やっぱり、娘時代14歳から僕に尽くしてくれているという感謝、お互いの感謝の気持ちですよね。人生の伴侶、僕がいちばん頼れる人やねんって思ってるんじゃないでしょうかね。私、責任感って持つもんじゃなくて、生えていくものやと思ってるんですよ。枝葉ように育っていって最後に実が落ちた時、おばあさん悲しいってえらい泣いてましたよね。ただ、好きな人、夫を失ったというより身体の半分を失ったような気持ちになったのではないでしょうかね。恋愛とか愛とかではなくて、生きるにあたっての究極を失ったような気持ちになったのではないでしょうかね。

夫婦って法律上でも、1個、同一なんですよね。他人じゃない。生粋の親よりも濃いんですよね。一緒に生きていく人が現れて、そして親になって子供が同じことを思い親になっていくんですね。私は、自分の半分ができたらいいなぁーって夢を忘れずに生きて行こうと思っています。

色んな事情はもちろんあるのですが、女の人が更年期になって卵がなくなる。だから、人口卵子とか取っておこうとかいうのもわかるのですが、神様もそんなに意地悪じゃないと思うんです。期限があるというのも案外、優しい規則で神様がよく考えたギフトなのかなと思う時がありますね。

—健康って大事ですよね。

いちばん大事なのは、「受け入れる」ってことですよね。そんなに難しいことじゃないですよね。この顔を受け入れる。そして、相手の言ったことを受け入れる。嫌おうとしない。雨、受け入れる。雨のお蔭で遠足が中止になる。でも、そのお蔭で何かが生まれる。自分の計画通りに行かない。映画の中でも、二人が色々な環境の中で一緒になって、色々あるのですがそれも受け入れる。

—綾戸さんもそうなんですか。

色々苦悶しながらですけどね。私、歌手になろうと思ってなったわけじゃないんですよ。こんなの言ったら、歌手の人に怒られるかもしれませんが、今日のこの日を考えて生きてる人っていなと思うんですよ。嫌なことも、いい事も受け入れてきました。声帯が悪くなってきた。でも、それも受け入れる。この声やから良かった。ああでないとダメ。こうでないとダメじゃなくて、こんなになってしまいましてん。ほな、明日からどうなんなりまっしゃろ。それで今日まで受け入れてきたらこんなになってきました。あなたとも今日こんな風に会えたのもね。

映画の中では出てないのですが、二人も色々危機もあったかもしれませんが、色んなことを受け入れきたんじゃないかと思います。そして「二人で一つ」これだけはがんばってきたのではないのでしょうかね。子どもが死んだりした時も、あんたのせいやーとか言いたくなりますやん。そういう想いも捨てて、色んなことを二人は受け入れていったのではないでしょうかね。ちょっと不器用な行動に出たりするのも、辛いことがあったからじゃないでしょうかね。

—最後は死があるのですが、死があったとしても愛は永遠に続くと監督おっしゃってました。

なるほど。私、生まれたばかりの時、母親が「いずれは死ぬのにごめんな」って謝ってくれたそうなんです。ごく最近、わからないと思っていたことがチラチラと一つ一つわかってきて、生きていてよかったなぁと思いますね。人間って生まれてずっとこのままって事はないんですよね。ましてや母なんて、人生知ってますから「これから人生辛いこともあるんやろうな、ごめんな産んで。でも、いいこともちょっとあるねんで、今、私あんたを産んで幸せやわ。申し訳ないけどあんたも色々あると思うけどがんばってや。」と、そんな事を思ったのではないでしょうかね。死を怖いというより、命の大切さを教えてくれる為に、ご先祖から引き継いできたのではないでしょうかね。

映画「あなた、その川を渡らないで」は、大ヒット公開中!
最新情報は、映画「あなた、その川を渡らないで」公式サイトへ

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