映画『エルネスト』公開記念舞台挨拶に、オダギリジョー ・ 永山絢斗 ・阪本順治監督登壇!高倉健さんへの感謝を語る。

7 日(土)、TOHOシネマズ 新宿 にて日本・キューバ合作で描く映画『エルネスト』の公開記念舞台挨拶が開催され、主演のオダギリジョー、永山絢斗、阪本順治監督が登壇した。

本作は、今年 2017年に没後 50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権との戦いで、1967 年8 月に 25歳の若さで散った実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を描いた作品。

物語は、ゲバラが広島を訪れ、広島平和記念公園で献花を行う“広島編”と、そして主人公フレディ前村がキューバに留学し、医学を勉強しながらもゲバラに傾倒し革命へと身を投じる“キューバ編”で構成されており、主演のオダギリは主に “キューバ編”で登場する。

一方、永山は広島を訪れたゲバラを唯一取材した新聞記者を“広島編”で演じており、ゲバラの革命家としての熱い言葉を私たち観客に代わって聞き出すという重要な役割を果たしている。

■舞台挨拶

オダギリジョー:おはようございます。初日から足を運んでいただいてありがとうございます。この間、ある俳優の先輩から映画『エルネスト』について、「こういう作品をお前が挑戦することをいつも嬉しい。こういう作品が今後もたくさん作られるようにお前が引っ張っていけ。」とお褒めの言葉をいただきました。僕としてもこのような意義のある作品に関われるのは嬉しいですし、このような作品に関わらせていただけることこが役者として役者冥利につきると感謝しております。

永山絢斗 :森記者をやらせていただきました永山絢斗です。今日は色々な映画が公開される中、この映画を選んでいただいたみなさんは正しいはずです。僕も阪本監督で、主演がオダギリさんって言ったら、絶対この作品を先に選んで次にいくと思います。(笑)楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いします。

阪本順治監督:こんにちは。色々なご感想をお持ちだと思いますが、何か気に入ったものがあれば胸に抱いてお帰りください。僕はこの作品高倉健さんに感謝しなければならないとこがあります。2013年に高倉健さんからお電話とお手紙をいただきまして、「脚本を書かないか?」ということだったです。監督としてではないです。その時に、国とか国籍とか人種とかの話をされて、それをヒントに僕が書かせていただくなら、高倉さんではないのですが、登場人物に日系移民の人という設定して、日系移民の人を探っているとフレディ前村さんの出会ったのです。その企画は僕の力不足でなくなったのですが、高倉さんの言葉がなければ僕は日系人に人を調べなかったし、フレディ前村にも出会えなかったし、当然この作品にはなっていません。直接的ではないにせよ、きっかけを作っていただいて感謝しなければと今日の初日を迎えて思いました。今日のこの二人なかなか面白いんで、トークを楽しんでいってください。ありがとうございます!

■撮影現場をふり返って・・・

オダギリジョー:僕も高倉さんに感謝したいことがありまして、誕生日一緒なんです。(会場笑)キューバでは本当に色々なことがあったので、選ぶのが難しいのですが、キューバの人の無邪気さ、ピュアさがずっと残っています。資本主義でずっと生活していますと、なんだかお金中心で物事が回っていくような気がするのですが、それとはまったく違う価値観で社会が動いている様を見ると、凄く色々なことを考えさせられました。映画に対しても非常に誠実に「日本映画に参加する」という姿勢ではなく、共に自分達の映画としてとらえて、全力で作品を作ろうとしてくれていたスタッフ、そしてキャストにも感謝でいっぱいです。

—チェ・ゲバラ演じるホワンさんを共演されていかがでしたか?

オダギリジョー:まず、みなさんが知りたいのは、彼の年齢だと思いますが、彼は28歳です。とっても真面目でとても芝居に対して真摯な姿勢で向かおうとしているキューバにこういうタイプの俳優がいるんだなと思う物静かな方でしたね。

永山絢斗 :僕の撮影は3日間であっという間に終わってしまったのですが、本当に楽しかったです。阪本監督の現場はずっと出たいと思っていたので緊張もしました。監督がみんなの横に行って、キューを出している姿とかを見ていて心地かったですし、やはりカッコイイ男だったなっていうところですね。

阪本順治監督:だいぶメシおごってますから。(笑)僕にとっても新鮮な若者でした。お兄さんの瑛太くんの関係で前から知っていたのですが、お兄ちゃんより顔つきが彼は昭和でしょ?50年前の話で今の若い子のキャスティングではなかなか上手くいかないのですが、彼は素晴らしいですよ。スマホをガラケーに戻したんですよ。今回、5カ国目の撮影になりますが、社会主義国のキューバと組むというのは新鮮でした。どの国でも労働時間や休憩時間のルールが決まっているのですが、キューバでもあるのですが、照明さんが僕らより早く現場行って、電源を確保して日本と同じで先発して先に準備してくれるのですね。昼食も僕らは後で食べるから先に行って準備しておくっていうタイプだったので、それは驚きました。その分、演出の時間が取れますので凄くうれしかったです。あとは、凄いラテンのノリなので、朝からハグしてチューしないと現場が動かないっていうのはありましたけど。(笑)二人共海外経験ありますし、何か事が覆ったら、もう振り向かないで挽回してやるしかないっていう共通認識でしたし、例えば現場で物がそろわないなんてことがあったら、キューバの人達はマンパワーの国で自分達で作ろうって言う発想で、彼らの力もかりて、僕らも何も諦めずに帰るんだっていう想いでずっとベランダで飲んでました。(笑)

■フレディ前村が25 歳で革命家としての命を全うしたことから、25 歳当時を自分をふりかえって・・・・。

オダギリジョー:『アカルイミライ』という映画をやったのがちょうど25歳くらいでした。はじめて主演の映画をやらせていただいたので、本当に気合が入りまくっていましたね。共演は、浅野忠信さん、そして藤竜也だし、黒澤清監督だし、本当に気合が入っていました。この作品失敗したらこの先役者人生ないなと思って、毎日全力でやっていました。全てのシーンで、黒澤監督から「オダギリさん、そんなに芝居しないで下さい」って毎日、毎回言われてました。

—当時の目標は?

自分はスティーヴ・ブシェミを目標にして、ああいう風にこだわりのある監督と何本も作品を続けていって、世界観を作っていくという仕事をしたいと思っていたのですが、それがずれて、ありがたいことにずっと主演をやるようになってしまった。(笑)

—今の目標は?

オダギリジョー:今は、昨日ネットニュースでザワついたそうなのですが、「働かないで楽して暮らしたいって」、みなさんそうでしょ?(笑)目標はそうですね。

永山絢斗 :はじめての時代劇をやった頃ですね。なんか凄い悔しい気持ちになりましたね。どうにでもなってしまえみたいに思っていましたね。それが今も続いていますね。(笑)

阪本順治監督:助監督ですね。多分、玉置浩二さんの『プルシアンブルーの肖像』ですね。

—その頃の目標は?

阪本順治監督:巨匠

—今の目標は?

阪本順治監督:巨小。(笑)小さいって書くんだよね。とりえあえず映画監督しか頭になかったね。自分の才能もよくわからないまま、映画監督ってカッコイイっ思ってましたからね。

■最後のあいさつ

オダギリジョー:みなさんも気づいていらっしゃると思いますが、今の日本映画の中では珍しい作品になると思います。こういう作品に手をあげる人も少ないと思いますし、かなりリスクもあって挑戦と思って参加させていただきました。こういう作品を作る阪本監督、プロデューサー陣、今の時代いるのが凄いと思うんですね。10年後を考えた時、このような作品が作られるかどうかは、こういう作品の答えによると思います。僕は、この『エルネスト』のような作品は、日本映画界にとって、意味のある創られなければいけない作品だと強く思います。それはここにいるみなさんのお力をおかりしながら大きく成長していくことが、こういう作品がなくならない唯一の道だと思います。是非、宣伝していただければうれしく思います。よろしくお願いします。

永山絢斗:今のオダギリさんのような言葉を直接聞けることは、本当にありがたいことだと思います。お二人のような先輩を見習って仕事をしていきたいなと思いますし、この作品に関われて良いことしかないです。ネットはもちろんなのですが、今日皆さんが何を思ったかを口にしてすすめていただければうれしいです。今日はありがとうございました。

阪本順治監督:自分で作って、自分で見返し、改めて平穏って何だろうって思いました。この映画の時代というのは、前の東京オリンピックの時代で、日本は経済成長まっしぐらだったんですね。そんな時代に遠い国でこのような学生達がいたという事も想起しながらみて頂けたらなとずっと思っていました。名もなき学生が、名もなき戦士になるというその学生生活を主に描いたので、戦闘シーンを期待された方には、ちょっと物足りないかもしれません。彼の事を英雄視するのではなく、血なまぐさい場面よりも何者でもなかったキャンパスでの生活をまず感じてもらいたいと思いつつ、僕としてもこんなに清らかな映画を撮ったのは初めてで、恥ずかしいところもあるのですが、政治家が笑えない喜劇を演じている中、こういう真っ直ぐな映画があってもいいのかなと思っています。もうすぐ日本も革命が起こりますよ。選挙のある党の公約に、人づくり革命、働き方革命、生産性革命とか。まったく冗談で笑えませんでした(笑)。とにかく何か自分に引きつけて観ていただければ、大事になさっていただければとうれしいです。フレディは、亡くなりましたけど、みなさんの心の中で行き続けると思います。今日はありがとうございました。

映画『エルネスト』は、絶賛上映中!
詳細は、映画『エルネスト』公式サイトへ

映画『エルネスト』
脚本・監督:阪本順治
出演:オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ、アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス
配給:キノフィルムズ/木下グループ
(c)2017 “ERNESTO” FILM PARTNERS.

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

動画インタビュー!【小野由香特派員】

注目記事 TOP10!

ページ上部へ戻る