映画「あなた、その川を渡らないで」学生特別試写会で、「恋愛学」の権威、早稲田大学 森川友義教授が恋愛レッスン!

6日、早稲田大学 小野記念講堂にて、7月30日より全国公開となるドキュメンタリー映画『あなた、その川を渡らないでの』学生特別試写会が、早稲田大学韓国学研究所(WIKS)との共催で開催。ゲストに早稲田大学で大人気の「恋愛学」講義をおこなっている早稲田大学 国際教養学部 森川友義教授による特別講義が行われた。

映画『あなた、その川を渡らないでの』は、2014年11月、韓国で小さな規模で公開をスタート後、公開館数は800スクリーンまで増え、ハリウッド大作を押さえて大ヒット。10人に1人が観たこととなる480万人を動員し、韓国ドキュメンタリー映画史上、驚異的な「NO.1」の観客動員数を達成したドキュメンタリー作品。観客の4割が20代という本作の魅力を森川教授が「今だからこそ、結婚76年目の老夫婦のすがたから見てとれる「幸せな結婚」「幸せなカップル」とはどのような形か?」を紐解いた。

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◆森川友義(もりかわ・とものり)プロフィール
早稲田大学国際教養学部教授。政治学博士(Ph.D)。1955年群馬県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒、ボストン大学政治学修士号、オレゴン大学政治学博士号。アイダホ州立ルイス・クラーク大学助教、オレゴン大学客員准教授を経て、現職に至る。専門は日本政治、恋愛学、進化政治学。主な著書として『結婚しないの、できないの?』、『一目惚れの科学』(以上、ディスカヴァー21社)、『結婚は4人目以降で決めよ』(新潮社文庫)等がある。

森川友義教授 特別講習 

みなさん、こんばんは。今日はありがとうございます。

30分の特別講習は、森川教授のリクエストにより、参加者の内訳が調査。日本人の人が3割、韓国人の方が7割。結婚している者、彼氏・彼女がいる者が3割と言う人数構成で始まった。「素敵な映画を観ていただきました。そしてそれを私が解説します。この2つがあって映画がよくわかると思います。今日だけ特別にやらせていただきます。」

森川教授は、早稲田大学で「恋愛学」という授業を教えており、最近は、「結婚学」も手掛けていることで知られる。「どのようにすれば結婚生活を維持できるのか?」テーマの森川教授の研究テーマのひとつでもあるが、昨今、不倫騒動がメディアを賑わしているので、「不倫学」というものを新しく開発より近日発売であると最近の研究活動で自己紹介を行った。

◆映画映画「あなた、その川を渡らないで」から見える「幸せな結婚」とは何か?

幸福感というものは、使えば減ってしまう消費財のようなもの。「ときめき感」はどのくらい継続できるのかと言うとだいたい2年間です。一方も大好き。もう一方も大好きであればプロポーズは成立。この期間は、非常に短い。「ときめき感」がだんだん減ってくると、「ときめき感」の代わりに「愛着」に変わってくる。その愛情で一生終えることも可能なのですが、通常は「愛情」が減って、空気のような存在として「愛情0」ラインになります。空気のような存在というのは、飽きちゃって、好きでも嫌いでもないという状態にある夫婦が非常に多いです。それが更に下がってしまう場合もあり、離婚するのかと言うとそれも難しい。子供もいるし、財産もあるし、それを折半というのは非常に難しいと考える場合もあるので、お互いよほど相手のことを嫌いにならない限りは、離婚の決断にはいたらない。

とは、言いつつも昨今の日本では、100組中、3割が離婚している。残った45組がセックスレスになる。合わせると20組みしか映画のご夫婦のようにスキンシップを取りながら夫婦関係を築くことがない。基本的に結婚を継続することは非常に難しいということです。

◆何が難しいのか?

ひとつは平均寿命が上がってしまい日本の平均結婚年齢は、男性が31歳、女性が30歳で結婚します。そして86歳まで生きます。つまり、50年以上結婚生活を維持することは難しくなってくるのですが、この映画のご夫妻のようにスキンシップを取ることは非常にマレであることを覚えておいて下さい。

◆どうすれば夫婦関係を満足させることができるのか?

まずは、【相手への期待値を下げる】。恋愛の時期には、相手に尽くしますよね。すると相手に対する期待値が非常に上がってしまいます。そこまで期待値が上がらないと、「どうして愛情が覚めてしまったのだろう?」と考えるようになり、「どうして最近、これこれしてくれないのだろう?」と考えるようになる。これは夫婦関係を悪くもっていきますので、とにかく「相手への期待値を下げる、相手になるべき期待をしない」ことが大事です。

その為には、夫婦関係、恋人関係は常に減点関係なのですね。「私のことどのくらい愛してる?えっそのくらい?」みたいなね。(会場笑)それを毎朝リセットする。朝起きたら減点方式ではなく、加点方式に変えると夫婦関係は上手くいきます。例えば奥さんが料理を作ってくれたら【ありがとう】を率直に言う。だんなさんが夜遅くまで働いてきてくれたらそれは給料が上がったということなので、「ありがとう」と言う風に感謝すべきものです。そういう風に映画の夫婦のように感謝の言葉が出てくるといい関係を築くことができます。これは非常に難しいことですが、毎朝リセットすると素直に「ありがとう」が出てきますので是非実行してみて下さい。

【子は鎹】この映画では、12人子供がいて、6人いなくなってしまうのですが、最後に自分の人生を閉じる時に、6人の子供に看取ってもらえるのは大きな喜びがあるとお思います。ところがワセ女のみなさんは、大企業に就職し、「私は仕事と結婚したの」みたいな事を言ってしまいますが、それは正しい姿なのでしょうか。仕事とは結婚できません。仕事と結婚しても子供は生まれません。そういうことを考えて子を持つ幸せを考えてはいかがでしょうか。

これからの時代、小・中・高・大と自分のキャリアに授業料を払っています。だいたい大学を卒業するまでに3000万円くらいお金を払っているそれで、いい仕事について資金回収をしたいのですが、それだけではなく、21世紀の場合は仕事を取って、尚且つ、結婚・子供を取るというのが新しい姿だと思いますがいかがでしょうか。

しかし、そうすると女性の負担が増えます。男性の方が分相応に家庭での仕事を折半して、お互い共有しなかればならない。そのような環境を築くことができれば、男性の人も女性の人が仕事をしてくれることに感謝ができるし、女性も男性の仕事に感謝ができます。仕事を失ってしまうこともありますので、両方の仕事を重複させる。分業から重複させることが新しい考え方だと思います。そうすると仮に離婚しても「再婚偏差値」というものが高いままで維持できますので、是非、実践してみていただければと思います。

そして、【飽きないものを作る】。幸せというのものは「限界効用逓減の法則」と言うのですが、ケーキでもビールでも1個目が美味しくて、その後は減っていくのですね。消費すればするほど飽きてしまいますので、相手の見かけ、夫婦の営みというのも消費すると飽きてしまいます。この「限界効用逓減の法則」があてはまってしまう消費財である恋愛を飽きないものを如何にして飽きないものにするかが大切です。

映画の中では、まず、季節の料理を二人で共同でやって腕を磨いているんですね。この料理というのが「限界効用逓減の法則」が当てはまらないのです。新しいく季節のものを毎日食べるということを奥さんのみならず、旦那さんも腕を磨くのが大変新しい方法です。

そして、年収は馬鹿にできません。お金で幸せは買えます。お金が増えれば増えるほど自ら創出することができるので、まずは飽きない事を作って欲しいと思います。

【不倫をしない】他人ごとのように思うかもしれませんが、結構不倫というものは起こっています。
1年以内の浮気率だとこちら、
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一生のうちだと、男性74%、女性30%です。というような大きな数字です。

誰がしているのかと言うと、こちらになります。
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未婚の人が圧倒的に多いわけで、結婚することである程度の歯止めができる。他人ごとに思っているかもしれませんが、浮気は、結婚してない10代男性の約半分、10代の女性の3人に1人が浮気しているのですね。年齢が下がれば、下がるほど浮気率は上がっています。

これは、なるべくしない方がいいですが、する気持ちもわからないでもないですが、幸せな結婚をするは、みなさんの努力が必要です。

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その後、森川教授は、「背が高いというような男性ホルモンと不倫率、また、年収と不倫率というのも相関関係が高いので、男性ホルモンが高くて年収が高いとは男性は結構不倫をしてしまいますので、つきあっている女学生は相当手綱を締めるようにお気をつけ下さい」と語り、会場を笑わせた。

◆質疑応答

学生(早稲田):森川教授の語って下さった5つの方法の秘訣の中で、このご夫婦の関係に一番強く作用していたのはどれだと思いますか?

森川教授:1個といのはないと思いますが、子供が多いことでしょうね。祝い事があると子供達がみてくれるというのが大きいと思います。夫婦、親子と喧嘩とする場面あるのですが、やっぱり死ぬ時に子供に看取ってもらえるかが非常に大きいと思います。死が近づくにつれて子供のありがたみが増えてくると思います。また、80歳、90歳になっても「ありがとう」と言えるのは大きいと思いますね。本心のみならず、努力で実行しているのが素晴らしいと思います。

僕自身一回結婚に失敗しているので、その時を考えるとね「ありがとう」は言わなかったなぁって思います。あの最初の頃の感謝する気持ちはどこにいっちゃったんだろうか。なんだか見方によると、今日の講演、僕の懺悔講演みたいになっちゃったね。(会場笑)余計な事いっちゃったかな。(笑)

学生(早稲田):夫婦の絆は、大家族であるというこがあると推察できるということですか?

森川教授:大家族のドラマも減ってきましたよね。核家族の物語が増えてきましたよね。結婚しない、結婚できない、あるいは不倫。むしろ大家族でそこのところを描いても視聴率がとれないなんて時代になってきてますからね。おじいちゃん、おばあちゃんがいて、夫婦がいてという大家族で住む幸せの形というものが得られにくい日本になってきてますからね。男性も女性も働いてなんていう時代になると、むしろ親との同居をすることによって、上手い形ができていくのではないかと思います。等分な家事の分担が難しいようだったら、奥さんの親に来てもらって手伝ってもらうとかね。一緒に住まないにしろ、これから日本が歩まなければならない1つの方法だと思うんですね。それがアベノミクスが提唱しているひとつの裏側でもあると私は期待しています。

学生(慶応):結婚すると嫁・姑問題も出てくると思いますがその辺りどう考えられますか?

森川教授:核家族化が進んでいますから、そういう問題は減ってきてはいると思いますが、先程のカップルに申し上げましたのが結婚して、家事を分担にするにも相手の仕事が大変で、分担が上手くいかない場合、誰に手伝ってもらうかということになると、お嫁さんにお母さんに手伝ってもらってはどうかと言いましたので、それだと嫁・姑問題はないのではないでしょうか。旦那さんのお母さんとお嫁さんの問題なので、そこは夫婦の奥さんの方の実家との関係が密接になっていくことで解決できるしスムースな子育てになっていくのではないかと思いますが。

学生(慶応):韓国の場合は、儒教の精神もあって、親孝行できなくてゴメンっていうシーンが出てくるのですが、男が自分の親の面倒を見てやりたい時に、女は「なんでそんなことに時間を費やすの?」っていうことが出てくるのではないでしょうか。

森川教授:そうだよね。嫁・姑問題は、人類が今までずーっと持ち続けてきた問題でもあるよね。どうやってそれを解決するかという解決策、「一緒に住まない」。でも、住んだ場合は解決しなきゃいけない問題として考えていかなきゃいけない問題なんだけど、例えばキッチンを別にするとか、二世帯住宅にするとか、1つの建物でも入り口を別にするとかも可能ですよね。同居というものが実際に始まるとケースバイケースで解決しなければならないことも出てきますね。

内外の学生たちからの温かい拍手に見送られその日の森川教授の特別講習イベントは終了となった。

あなた、その川を渡らないで  2016年7月30日(土) シネスイッチ銀座 ほか 全国順次公開!
詳細は、映画「あなた、その川を渡らないで」公式サイトへ

『あなた、その川を渡らないで』poster

『あなた、その川を渡らないで』チラシ裏

 

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