角川映画祭 『Wの悲劇』 32年ぶりの舞台挨拶に澤井信一郎監督、三田佳子登壇!

31日、角川シネマ新宿にて開催中の角川映画祭にて、女優同士の闘いをセンセーショナルに描き、【女優】映画の傑作と名高い映画『Wの悲劇』の上映舞台挨拶がおこなわれ、主演:薬師丸ひろ子と拮抗する【大女優】役を演じた三田佳子、そして本作 澤井信一郎監督が登壇し、撮影当時の薬師丸ひろ子との撮影秘話、また、劇中劇の演出家として出演の蜷川幸夫との思い出も振り返った。MCは、元キネマ旬報編集長・映画ジャーナリストの植草信和が務めた。

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◆セッショントーク

植草信和:今日はお暑い中、お越しいただきましてありがとうございます。32年前の作品なのですがいかがでしたでしょうか?(場内拍手)今日は、澤井信一郎監督と三田佳子さんにじっくり語っていただこうと思います。澤井さん、32年ぶりの作品をこうしてみなさんが観て下さるというお気持ちはいかがですか?

監督:それは、もう、うれいしいですね!作った興奮が蘇ってきますよ。

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植草:三田さん、いかがでしたか。

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三田:そうですね。32年も経っちゃって、申し訳ないような気持ちです。スクリーンも、まだまだムンムンしているようなね。(会場笑)雰囲気も随分なくなっちゃって、こうやって登壇していてガッカリしちゃうようなこともありますが、監督がおっしゃったように、今日はこうして32年経っても、再び超満員のお客様の前でこうしてご挨拶できるなんて、水野晴男さんだったら「映画っていいですねー」っておっしゃるところだと思います。

植草:今日は、角川が公開当時に作成したプレスシートをお持ちしたのですが、本作は大ヒットされたんですよね。10億円くらいの配収があったと聞いておりますが・・・。

監督:大ヒットで席がないというのはよく聞いておりました。新宿に確か武蔵野館があったと思うのですが、そこの意識調査というのがありまして、そこで「99.8%」が面白いと言って下さって、これは新記録だってみんな喜んでくれて、お客さんが入って下さることもうれしいのですが、満足度が高いのがもっと嬉しくて、祝杯をあげた事を覚えております。

植草:確か併画が原田知世さんの「天国にいちばん近い島」でしたね。それは嬉しいですね。監督冥利につきる作品ですね。

監督:はい。僕もそうですが、出演されている方はやっている自分に拍手が来るのですから、直接的に熱いのではないかと思いますね。

植草:三田さんは、主演の薬師丸ひろ子さんを育てあげる「大女優」の役だったのですが、圧倒的な演技を披露されていらっしゃるのですが、このお話をいただいた時はどんな感じだったのでしょうか。

三田:まず、台本が来ましてね。「大女優」の役なんて嫌よ~(会場笑)よくあるパターンのね。そんな私今更「大女優」なんて顔して出て行きたくないわ。監督さんはだぁれ?って聞いたら「さわいしんじろうさん?」聞いたことないわー

監督:信一郎(会場笑)

三田:最近、3つ名前の監督さん増えてきてるからそういう監督さんかしら・・・そういう監督さんだったら、私の事知らないと思うから会ってみて、どんな映画をお作りになるのか聞いてみてそれで「大女優」とういうのをやってみたい。そうしたらね澤井ちゃんだった!澤井ちゃんってどうして言うかと言うと、東映時代に「さわいしんじ」さんっておっしゃってたのです。あの澤井ちゃんだったのでびっくり仰天感動して、そしたら「そうだよ。俺だよ。三田ちゃんの草履取りしてやったじゃないか。」って言って、私も若かったから、入ったころちょっと上だったからよく面倒を見てくれたんですよ。「そういう関係の僕が映画を撮るんだから、絶対、三田ちゃんやってよ!」って言って、じゃぁ、私お願いがあるよって言って、今、若干二十歳のアイドルの薬師丸ひろ子と長い事やってきた「大女優」とまではいかないけど、五十歳までやってきたベテラン女優が、ただお役目で出るのだったらやだって言ったら「そんな事はない。僕のお願いは若い新人女優と先輩と言われている大女優の二人の役者が拮抗して戦う映画でアイドル映画ではない。」と聞いてそれでやらせていただくことにしました。

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植草:監督はマキノ監督の助監督をなさっていて、三田さんはマキノさんの映画に何度か出演なさっているということで、お二人はマキノさんを通じて知り合ったのですか?

監督:最初に出会ったのは、佐藤純弥監督の愛欲、続・王将、助監督と女優という関係で出会いました。

植草:当時、既に「大女優」だったのですか?

監督:当時、東映には二人「よしこ」さんというのがいまして、佐久間良子と三田佳子二人を中心に回ってましたね。

植草:じゃぁ、仰ぎ見る存在だった。

三田:そんなことないですよ。でも、面倒をよく見て下さったんですよ。それから色々な監督さん達が面倒を見て下さったんですよ。

植草:そんなお二人がこういう形で巡りあって、それが後世に残る傑作になったっていうところにドラマを感じるのですが、撮影当時のお話を伺いたいのですが、劇中、三田さんのシーンでは大掛かりな芝居のシーンが多いですが、その辺りは監督演出的にはどう思っていらしたのでしょう。

監督:三田さんの性格がああいう風に激しいというのではないのですよ。演じることの摩訶不思議というか、演じることの魔術に飲み込まれたという女優の業を描きたいと思ったのですよ。この人の性格が良かろうが悪かろうが、一旦演劇という演ずる事の業に取り付かれてしまうと何もかもわからなくなって可愛い弟子に罪を押し付けてまで自分が生き延びようとするそういう女優の業というのが、アメリカ映画では既にありましたけども日本ではありませんでしたので、バックステージもので演じることの業を描いてみたいと思ったのです。

植草:そういう役を求められて三田さんどうでしたか?

三田:監督はそういう事を求められていらっしゃいますし、自分であって自分でないような宙を歩いているような感じでした。台詞を考えて言うという事をしないという信念で、お風呂に入っていようが、どこで何をしてようか台詞の数も飛び散っていたので、どこで自分が何をしようとか考えてなかったです。当時は観たのですが、その後30年くらいは自分の映画は観るのが恥ずかしくてほとんど観てなかったのですが、未だに「凄い映画だ、凄い映画だ」ってたくさんの方に言われて、三田さん、ちょっと観てみたらって言われて、観てみたのですよ。そしたら本当に凄いんです。(会場笑)もう、本当にびっくりしました。(会場拍手)こんな自分がいたんだ、もう二度とできない。映画の女優で良かったなぁと思いました。あれが原因で宮藤官九郎さんが、1人8役をやる「印獣」なんて舞台を持って来て「大女優と言えば三田佳子しかいないよ」って言って、マツコデラックスさんなんて、あれで「大女優」を凝り固めちゃってますから(会場笑)「会っちゃったらイメージがくずれちゃうから・・・」っておっしゃってましたのですが、この間アウトDXに呼んで下さって、そしたらマツコさんあんなに激しい方が、私を見ないんですよ。(会場笑)「あの大女優が来ちゃった・・・」って今日に至るまで三田・・・私自分の役名も覚えてないの。

監督:三田は薬師丸ひろ子ちゃん。自分は、羽鳥翔。

三田:羽鳥翔だったんだ。なんか三田さんって言ってたけ。(会場爆笑)自分と名前が一致してたなんてまったく意識しないくらい毎日役に成りきってたんですよ。

植草:まず、観客をおどろかされるのは、三田さん演じる羽鳥のパトロン的存在の仲谷さんが亡くなられて、そこへ薬師丸ひろ子ちゃんが来て、まぁ、それから驚愕のシーンの芝居なのですが、これはカット撮影的な手法ですかね?

監督:左右に動かしてはいますが、ワンカットです。

植草:薬師丸さんがフレームアウトしていますが。

監督:フレームアウトさせた方が構図が壊れていいかなと思いまして、その辺は狙いで。

植草:凄い絡みでしたねよね。

三田:ひろ子ちゃんも私もただの女優とベテラン女優になりきってますからね。 戦いなんですね。力は私も残ってましたけどね。ひろ子ちゃんの方が若いから満身の力で逃げると本当にどっかに行っちゃうんです。それを私が「私の言うことをきくのよ!」って物凄い痣ができるくらい掴んでねそれを抱きしめて。そうすると若魚のようにピンピン跳ねて出て行っちゃうんですよ。(会場爆笑)それで「カット」って言われるとまた一から監督が「よーい」って言われますからね。2度も3度もできるものでもないので必死で演じて「OK!」が出た時にはホッとしました。

Wの悲劇(C)KADOKAWA1984

植草:三田さんまだ42、3歳くらいでしたよね。これは何テイクぐらいで撮ったのですか?

監督:だいたいワンテイクは4~5回撮りましたね。だからフィルムと言うのは当時は1000フィートしかないんですよ。10数分しかないんですよ。それをオーバーするとフィルムチェンジしなければならないので、フィルムの長さに合わせてカットするなんてことをしていました。

植草:仙元さんのカメラのセンスが素晴らしいですよね。

監督:あの人のピーク時のカメラワークは本当に素晴らしいですよ。

植草:雰囲気作りって言うのが素晴らしいですよね。

監督:流動的ですからね。固定的ではないですからね。絶えずリズムを持って動いていて素晴らしいですね。角川映画は全部仙元さんでしたね。

植草:三田さんから見た仙元さんいかがでしたか?

三田:私も若かりし頃、仙元さんの先輩の名カメラマンの方とご一緒しましたが、さっきもおっしゃられていましたように、一番いい油がのってる時ですから、私達の演技もそうですが、監督の演出もそうですし、やっぱりピーク時って言うのは計算しない凄いエネルギーを発する素晴らしさがありましたね。

植草:三田さんのお芝居で観ていて、陶酔感といういいますか、薬師丸ひろ子に罪を着せてその事件によって薬師丸さんが退団になるかどうかの話を幹部がしている時に三田さんが登場して、凄い台詞と凄いアクションで圧倒するのですが、演出としてはどういうことを狙っていたのですか。

監督:嘘を本当と演じきらなければならないので、そこに演じきれない場合は、「あの女優下手だね」と言う事で終っちゃうんだけど、下手だねってことじゃなくて死体遺棄っていう罪になっちゃうんで、それは真剣勝負だからね。まさに演技の業たるところをやらなきゃしょうがないなと。最初あれは休憩中の舞台と客席を使ってやったのですが、最初はそういう設定ではなくてもっと小さな事務室で劇団会議みたいなところでやろうとしたんですが、それでは動きがないし、業が出ないからと言って、急遽あそこに変えて撮ったのですよ。

植草:その時の三田さんの演技が。

三田:凄いでしょ?(会場笑)ここに俳優・蜷川幸雄もいて、名俳優たちがいっぱいそこにいるんですよ。そこへ「よーい」って言われて私が出てきて、私が「あなた女使わなかったの?どうなの?私は使ってきたわよ。」って(場内拍手)それで監督の演出家としての目が光ってるわけでしょ、ちょっとでも変だったら「カット」って言われちゃう。「なんだ三田佳子カッコつけてるけど、ひどいねぇーあれじゃ説得されないよ」って言われちゃうのが80%以上なのです。それを乗り越えて死んでもいいと思ってやりました。それで休憩時間が入ってひろ子ちゃん呼んできて「あなたやるのよ!いいわね!」って言ってそしたら「はいはい。」って言って、それで終って休憩時間に蜷川さんをはじめ入ってくるわけですよ。そしたらそばにやってきて「いいねーもっとやれよ」言うわけですよ。(会場笑)私相当意地悪で相当ひどいことを言ったのに「もっとやれっ」て、あの言葉は褒め言葉と思って、そう言っていただいたことを覚えています。

植草:蜷川さんも、どうしてこんなキャスティングができたのかと思うくらいの適材適所のキャスティングですよね。

監督:あれは、脚本を書いている時からこの役は蜷川さんだと。(会場笑)寅さんと言えば渥美清さん、演劇の演出家ですぐ台本を投げて怒鳴ると言えば蜷川さん。(会場笑)

植草:あれは本当なのですか?灰皿を投げたり。

監督:僕は見たことないですけど、半分本当で半分芝居のところもあるのではないでしょうか。

植草:その蜷川さんが前で観てるって本当辛いですよね。

三田:辛いです。本当、監督は裏で意地悪な目で見てますし、これは真正面からやってくれるかい?って観てますからね。本当に凄い事でした。やって良かったです。

植草:これは三つの舞台のシーンがありますよね。夏樹静子さんの「Wの悲劇」それを薬師丸ひろ子の成長物語が映画の中に入っているのですが、この夏樹さんの「Wの悲劇」に蜷川さんはどういう働きをなさったのでしょうか。

監督:役者として入ってます。

三田:でも、ちょっといいですか。私は蜷川さんに演出されましたよ。(会場笑)舞台では。ひろ子ちゃんが「お母様・・・」の後、私がこたえるシーンがあるでしょ?あれは蜷川さんがあの舞台の中で蜷川さんが演技をつけたんです。あの舞台は蜷川さんが演技をつけたのです。だから二重構造になってるのです。

植草:それで思ったのですが、お芝居のライティングと映画のライティングは違いますよね。それは映画の照明マンがお芝居までも担当なさったのですか?

監督:蜷川さんの方の照明マンとこちらの照明マンがお互いに性格のいい人だったので、イニシアティブをどっちがとるかで揉めるものなのですがそれを実に上手くやってくれて、演劇的なライティングをもうひとつ映画のライティングで撮るというところも上手くやっていると思います。

植草:これは映画ですから、映画の照明マンが責任を持ってやるわけですよね。

監督:そうです。

植草:映画の照明マンは演劇のことは知らないので、蜷川さんの連れてきたライトマンがそのお芝居のライティングは担当なさった。

監督:そうですね。

植草:これは外国映画ではあるかもしれませんが、日本映画では少ないですし技術的なことでも至難の技ですよね。

監督:それともう1つ「Wの悲劇」で舞台の装置を作っているのは妹尾河童さんが山荘を作っているのです。映画の美術をやっている人間は一切、演劇の方には加わっていないです。

植草:非常に複雑な背景のある映画なのですが、三田さんはこの映画で「舞台女優」をやっていますが、「映画女優」であり「舞台女優」もされていますよね。

三田:既にその頃も舞台たくさんやってましたら、やってて良かったなぁと思いましたね。舞台でもそんなにオーバーな演技はしないのですが、あの映画は映画の現実の芝居と舞台の芝居をはっきりと演じなければならないですし、蜷川さんの芝居の場合は、少し大仰に見せることが1つの特徴ですからそのことを含めてとてもオーバーにやりました。それで蜷川さんらしいスポットライトの効いた照明の中でドドドドーンと。そしてこちらが映画の裏の照明の効いたところで、両方共に見せるように複雑に作っていますので、あの時はお芝居を観にこられた観客もいっぱいだったんです。

植草:これも驚くところなのですが、東京と大阪二箇所あるのですが随分エキストラ入れたのですね。

監督:当時は、薬師丸ひろ子を筆頭とする角川映画の青春映画が人気ありましたからね。確かもらえるのは昼飯とWの悲劇って書いてある宣伝用のTシャツかな。それでみんな来るんですよ。

植草:今は何千円かの日当でも集まらないって現実も聞きますよね。当時の角川映画の勢いって言うのがそういうところにも出てるのですね。

監督:そうですね。

植草:後、映画が演劇人の話でもありますよね。でも、これは映画なのでその演技のメリハリっていうのはどういう風に考えられていたのですか?

監督:演劇の台詞というのは夏樹さんの「Wの悲劇」からある程度形を作った方がいいと思ったのですよ。でも、舞台上でそういう発声をしている人がいざ感情の芝居になると柔らかい日本語で発声するという演技の二重性ですよね。この映画は、幾重にも二重性がついて回る映画でしたよね。そういうところがこの映画は最初から狙いでしたね。

植草:その二重性で成り立っているっていう映画ですよね。20歳の薬師丸ひろ子がお芝居に行くのか辞めるのか。それから罪を背負ってまで女優になるのか。常に揺れ動く青春。だから青春映画としても良くできていると思うのですが、20歳の薬師丸ひろ子を撮りたいっていうお気持ちもあったのですよね?

監督:僕よりも年下で、監督としては先輩にあたる相米くんや根岸くんのような若い監督が薬師丸ひろ子でいい映画を撮っていましたからね。それで中学生、大学生、幼稚園の先生と年齢を追って彼女のキャスティングが考えられてきましたから、20歳になった時の題材を与えられた時にこの子は今年大学2~3年生で大学に篭っちゃうかもしれないし、そういう選択肢がいっぱいあるのだから、この子と演技でトコトンつきあってみてもう逃れない、扉をしめちゃうつもりでやりました。

Wの悲劇 (C)KADOKAWA1984

植草:では、女優を続ける以外ないところへ薬師丸を追い込んだということですね。

監督:えぇ。DVDのメイキングにもついているのですが、その時に僕が彼女と共演してくださる女優の三田佳子さんに拮抗できるような女優になって欲しいと発言して、「そこまでは頑張る」と発言してくれましたのでね。

植草:そこまでは、女優を続けるかということで相当悩んでいたとテレビでもあったのですが。

監督:えぇ。もうそれは許されませんよと。(会場笑)

植草:そういう風に追い込んでいったんですねぇ。共演なさってどういう風に感じていましたか?

三田:可愛いですけどね。やっぱり芯がありましたよ。監督が追い込んだかもしれないし、それが始まりだったのかもしれないですが32年足せばね。

植草:52歳ですかね。

三田:52歳までね。まだまだこれからね!私は追い込まれなかったですけどまだやってますから。(会場笑)本当にあの役のお蔭ですからね。そうやって命と女優をやり続けるという彼女の神髄を感じられました。だから戦いで彼女が「いやぁー」って言えば、私が本当に突き飛ばされくらいの勢いでやったりね。台詞の練習も先輩の女優さんについてもらって、そして一生懸命メリハリをつける台詞を練習したりね。現場で監督が細かく指示なさっていたけどその手前でも勉強してがんばってました。

私彼女にね。二十歳の薬師丸ひろ子ちゃんのねプロマイドもらったの。(会場笑)「三田さん、これもらってください!あげます!」ってね。そういう世間を知らないね。(会場笑)「三田さん、あげる!」って感じでくれて、「あっ!」と思ったのですが、「うれしいわ。ありがとう!」ってもらったんですけどね。32年持ってます。(会場爆笑)そういうね可愛いところもあったの。そんな縁でね今も応援しています。未だにねひろ子ちゃんね、大女優と新人女優って関係を持っててね。「もう、最低でした。」ってね言ってくれてますね。(会場笑)

植草:ラストシーンについても伺いたいのですが昭夫と結ばれるんじゃないかというシーンもあったそうなのですが、どの辺りで今のラストシーンに変わったのでしょうか。

監督:お正月映画だったのでね。ハッピーエンドが良かろうと「女優なので料理も何もできないのですが、それでもいいでしょうか?」のたくりまくったような台詞でハッピーエンドにしたんですよ。そしたら角川の事務所の方がハッピーエンドにしなくてもいいと。そんな気を使ってくれなくてもいいから結ばれないなら、結ばれないでいいって言ってくれて元に戻しました。

植草:マキノさんが「ここまで角川事務所がやらせてくれるって、良かったんじゃないか」って言ってのをどこかで発言されたのを読んだのですが。

監督:マキノさんはね、こういうラストはね、かつての東宝、東映、松竹ではやらせてもらえなかった。俺達もやりたかったけど、やらせてもらえなかった。まず、第一に舞台が成功したところで終るっ言う選択肢もあった。でも、それもマキノさんの時代は難しかった。それで舞台が成功して楽屋口から出てきてファンが万歳の拍手で迎えてくれてそこで終ることもできた。そこもお前達は選択しなかった。そこで別れるという事を提示したと。それはかつてのハッピーエンド主義の映画界ではあり得ないことだったから、それを見過ごして下さった角川さんは偉いと言う風に言ってくれてました。

植草:それは嬉しい発言ですね。

監督:そうですね。

植草:結果オーライですけれでも、このラストシーン以外は考えられないし素晴らしいラストシーンだったと思いますよね。そういう意味では忘れ難いシーンでラストシーンの薬師丸ひろ子良かったですよね。

監督:そうですね。

◆最後のあいさつ

監督:この角川映画祭は当分続くようなので、一連の角川映画のそれぞれの傑作を味わって下さい。今日はありがとうございました。

三田:今日は、こうした形で「Wの悲劇」を観に来て下さってありがたいことですし光栄なことです。まだまだ、私は生きている限りおばあさんでもなんでもいいから面白い芝居をやって行きたいと思っています!監督は撮らないなのですか?

監督:10も上だからねぇ・・・。

三田:えっ、10も上なの?(会場笑)嘘なの?逃げちゃだめですよ、監督!その時には通りすがりでもいいから出していただければと思って一生懸命精進しますので、みなさんもどうぞよろしくお願いします。今日はありがとうございました!

会場からは三田佳子にファンから花束が手渡され、鳴り止まない拍手の中その日のイベントは大盛況のうちに終了した。

角川映画祭は、角川シネマ新宿にて絶賛上映中!

最新情報は、角川映画祭公式サイトへ

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