本日初日開幕!こまつ座 第116回公演 『私はだれでしょう』 ゲネプロ 囲み取材に、主演 朝海ひかる、吉田栄作、尾上寛之、平埜生成 登壇!

3月4日、東京・紀伊国屋サザンシアターにて、こまつ座第116回公演『私はだれでしょう』の囲み取材及び公開稽古が行われ、主演の朝海ひかる、吉田栄作、尾上寛之、平埜生成の4人が登壇した。

2007年の初演以来、初めて『私はだれでしょう』再演となった本作は、“遅筆堂”井上ひさしの脚本の遅れから初日が1週間以上遅れ、のべ3000人の観客が観られなかった為「幻の新作」と呼ばれ続けた作品。物語は、昭和21年7月。戦前戦中の日本放送協会(現NHK)の新番組『尋ね人』を舞台に、ラジオ放送にひたむきに取り組む放送局職員たちと、日系二世の軍人、そして番組に「ラジオで私を探してほしい」と訪ねてきた男の、歌あり笑いありミステリーありで描く戦後の日本の青春物語。

出演は、昨年、宝塚退団後10年を迎え、この作品で退団11年目の新たなスタートをきる朝海ひかる、『視覚探偵 日暮旅人』のジャズミュージシャン役など TV での活躍も目覚ましい吉田栄作、NHK 連続テレビ小説、大河ドラマ、『ROOKIES』など作品によって個性を使い分ける尾上寛之、蜷川幸雄・栗山民也など大御所演出家の信頼厚い、実力派若手俳優の平埜生成の4名が、3月5日の“初日”を迎える意気込みを語った。

◇初日を迎えるにあたって

演出・栗山民也(コメント寄稿)

IMG_3452

今回、十年ぶりに『私はだれでしょう』と向き合いながら強く思うのは、井上さんがまるで今回の公演のために書き下ろした台本のように、恐ろしいほど「今」の日本を鮮烈に描き出しているということです。「終戦から二年で、また元に戻るの?」という象徴的な台詞が劇中にありますが、戦争責任の在処も曖昧に、宙ぶらりんのまま歩みだしてしまった日本と日本人の無責任が、そのまま今の私たちの姿だと、強い怒りを持って戯曲は書かれています。昨今のこの非常識で最悪な政治状況のいくつもの断面が、見事に映し出されています。そんな井上さん「今」の声が聞こえてくるのです。

日本と日本人が、無責任と曖昧を生きる術に選んだ過去は変えられないけれども、そのことに気づき、新たな歩みを考え、これからを選ぶのは私たちの課題でしょう。この舞台が、その一つのきっかけになることを心から願っています。

こまつ座代表・井上麻矢(コメント寄稿)

IMG_3408

「私はだれでしょう」の2007年の初演の時から随分の時間が経ちました。初演では沢山のお客様がこの作品を観られなかった事を思うと胸が痛む思いです。こまつ座の座付作家でもあった父・井上ひさしも同じことだったでしょう。再演を強く望んでいながらも、観ることなく座付作家はこの世を去ってしまいました。こまつ座に残してくれた「劇場に出現する時間のユートピアを作る」という言葉の意味を問いながら、演出家の栗山民也さん、初演のメンバーであるスタッフの皆様、新しい息吹を与えて下さった新しい俳優の皆様が丁寧に作って下さった素敵な作品です。再演を楽しみに待ってくださったお客様に、今こそ、この作品を届けたいと思います。

川北 京子 役
朝海 ひかる

IMG_3141

いよいよ明日が初日ということで、稽古の方も大詰めの稽古を必死にがんばってやっています。この作品に出会えたこと、そして、私は、「川北京子」という元NHKのアナウンサーで、今、「尋ね人」という番組を制作している女性を演じますけど、この時代のこの女性の生き様、想いをみなさまにお届けできるように頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします!

フランク 馬場 役
吉田 栄作

IMG_3194

栗山さん、井上さんのお言葉にもありましたが、今、やることに意味のある戯曲ではないかと思います。僕自身もこうして現代生きていて、世界が、そして我々の国、日本が岐路に立っているのではないかと思います。こうして井上ひさしさんが、残していただいた戯曲をしっかりと我々が現代を生きる人間として演じて、しっかりとみなさんに観ていただいて、このバトンを渡すということが大事なのではないかと思っています。是非、来て下さい。お願いします。

高梨 勝介 役
尾上 寛之

IMG_3170

演出で常々栗山さんから舞台上で芝居をしているけれでども、生きること、聞くこと、相手の言葉を聞き逃さないことをずっと言われ続けてきました。ちゃんと生きるという井上さんの戯曲から伝わってくる想い、栗山さんの演出の想い、そして、舞台上で生きている僕たちが新鮮に、そしてちゃんと聞いて、そこで魂のぶつかり合いが起こる稽古をずっと重ねてこれたと思っています。楽しみにしていて下さい!よろしくお願いします!

山田 太郎?(尋ね人)役
平埜 生成(ひらの きなり)

IMG_3157

10年前初演を観られなかったお客様もたくさんいらっしゃって、この10年に何があったかを凄く感じていて、もしかしたら亡くなられた方もいらっしゃるかもしれません。劇場に足を運んでいただけるということは、決して簡単なことではありません。観に来ていただいたお客様と一緒に劇場でその瞬間、瞬間で魂をぶつけあって、この10年間、そして時代を飛び越えて、お客様と劇体験ができたらと思っています!よろしくお願いいたします!

◇質疑応答

—井上戯曲の楽しさ、難しさは?

朝海ひかる:井上先生の戯曲には楽しい曲が入っていたりするのですが、歌が急に入ってきたりするのですが、その急に入ってきたりすることが、観ているみなさんにとってはとても楽しかったりするのですが、そのスピーディーな展開が演じてる上では、とても難しかったりもします。その切り替えの難しさを感じながらやっております。

吉田 栄作:今回の戯曲を観て僕が感じたのは、井上ひさしさんがとても何かに怒っていらっしゃるなというのをとても感じました。その強烈なメッセージのある台詞劇ではあるのですが、その反面音楽劇でもあり、エンターテイメント性がものすごくあるというそのバランスが絶妙だなと思いました。尾上くんも言ってたように僕らは舞台上で生きること、それが全てだと思っています。

平埜 生成:井上さんの戯曲は、日本語本当に大切にして下さる方で、自分の生まれた母国語である日本語を喋ることがこんなにも難しく、こんなにも美しいことだったのかと言うことを凄く感じています。自分が台詞の中で喋りにくい言葉とかあること自体に、自分は日本人ではなかったのかと思ってしまうことがあったりしました。面白さはみなさんがおっしゃるとおりだと思います。

尾上 寛之:今、生成が言ったことに共通するのですが、日本語の難しさ、語尾ひとつ上がる、下がるのだけで意味がまったく違ってくるという難しさから、本当に自分は今まで何語を話していたのだろうと、本当に考えさせられた稽古場でした。これは楽しさ、難しさの両方を兼ね備えているのですが、井上さんの言葉のリズムを読み解く難しさ、また、それが解けた時の嬉しさ。それを探していく作業が、本当難しいのですが楽しかったです!

—栗山さんの演出は?

朝海ひかる:終戦後の大混乱期の中の東京の話なのですが、重いメッセージや事件が起こりますけども何よりも大事なのは、まずは人間としてして普通に生きている私たちの生活がまずあって、メッセージだけを伝える芝居ではないということをよくお話くださっていました。やはり戦争の話とか出てきてしまうとつい力強く演じてしまうのですが、そうではなくて普通に過ごしている時間の中でのお話であるとおっしゃられていたのが印象的でした。

吉田 栄作:今回初めて、演出家としての栗山さんとご一緒させていただいたのですが、とにかく的確、明確。その中にもゴールが見えていらしてそこに向かって、少しずつ、少しずつ重ねていかれる。そして私たち役者ひとりひとりに対して「このパスをひろえ」とひろえるパスを出して下さる。そしてひろえた後に、さらに、その先にひろえるパスを常にちゃんと出して下さる演出をする方だなと思いました。そして、「舞台上で生きなさい」と言う言葉はものすごく心にささっています。これを千秋楽までやっていかなければと思っています!

平埜 生成:個人的なことなのですが、お前は俳優の仕事をしていないと言われまして、本当にそのとおりで今まで何をしていたのだろうかと絶望の稽古場を僕は過ごしていまして、でも、それが僕の演じる山田太郎という再生する人間の役作りかもしれないと思いました。

尾上 寛之:とにかく聞くことの難しさを学びました。とにかく耳から入ってくる情報が全てなのだと。音に反応してどういう風に体が動くのか、その時、気持ちはどう動くのかということを明確には言われないのですが、ちゃんとそれを聞かないとお前は動かないだろ?って事を言葉の裏側にずっと言われているように感じる稽古場でした。今回のラジオの大切さもあいまって、聞くことの大切さを強く学ばせていただいた気がしました。

—吉田さんが感じる日本が岐路に立っていると感じることは?

吉田 栄作:去年たまたま米国に滞在した時、もの凄く大統領選が盛り上がっている時でした。米国の人たちは、もちろん自分たちのことですから、市民の方でもバーでも食事をしている時でもディベートをするのですね。今回の大統領選はご存知のようにちょっと滑稽さといいますか、こけ落としあいを見ていて自分も、親米家なのでこの国も岐路に立っているのだなと思いました。そして海の向こうの自分の国を思った時に、いやこの国だけじゃない自分たちの国も色々な状況に立たされている。この物語にもある『私はだれでしょう』とたずねてきた青年が、結果的には『私は誰であるべきなのか』に気づいていく物語でもあります。その中で大事なのは、我々ひとりひとりが体制の流れとか政治の流れとかではなく、どう生きるべきかということをひとりひとりが考えて覚悟して生きていかなければならない時代がもうやってきているのではないかと思います。そういう意味では10年前に井上さんの書かれたこの戯曲が栗山さんの言葉にもありましたよう、まるで今の日本を描いているように感じて僕も演じさせていただいています。

3541

こまつ座 第116回公演 『私はだれでしょう』 は、3月5日(土)~26日(日)紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA にて【東京公演】上演後、【川西公演】、【市川公演】を予定。3月10日(金)、13日(月)、19日(日)には、スペシャルトークショーも開催予定。

詳細は、こまつ座公式サイトへ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る