どうして男女逆転?!子供のころから50年近くシェイクスピア劇を観ている小田島恒志さんを驚かせた古城十忍さん演出『男女逆転〈マクベス〉』とは。

 24日、東京・赤坂レッドシアターにて、現在上演中のワンツーワークス#28『男女逆転〈マクベス〉』のアフターイベントスペシャル対談「私的シェイクスピア」 に、本作上演台本・演出の古城十忍さん、翻訳の小田島雄志さんの次男で自身も翻訳家の小田島恒志さんが登壇しました。

初観劇の小田島さんは、開口一番に「単純に男の役を女優がやって、女の役を男優がやると思って来たら、「えっ!?」、本当に世界が逆転してるんですね。こう来たかぁー」と驚いた様子でコメント。「どうせ、奥村さんがマクベス夫人だろうと思ってね。ありゃあ王殺しをそそのかす顔だろうな。」と続け、会場からはクスクスと笑いが。「日本でマクベス夫人と言えば大女優で、男でマクベス夫人と言えば玉三郎さんが凄かったです。髪に火がついて凄い演出だと思ったら事故だったり。その頃から、ただひたすらにシェイクスピアを観ている人って立ち位置で今ここにいます。」と自己紹介。

小田島さんの率直な感想に古城さんは、「闘う女を見せるという事で、逆転してしまえば、これはコンセプチュアル演劇になるなと思ったんですよ。」とコメント。古城さんは、現代美術が好きでオノ・ヨーコさんのジョン・レノンさんとの出会いとなった脚立の上から虫眼鏡で天井に小さく書かれた「Yes」という文字を見せる作品やすべてアクリル製の駒を配して敵味方の区別がつかないチェス盤を並べた『信頼して駒を進めよ』といった作品を例に「具象のものではなく、何か考えるきっかけに」と本作の創作の意図を明かしました。

これに対して小田島さんは、「いや、もっとはっきりと具象で観ましたよ!」と力説。「男の世界、女の世界完全に入れ替わっているでしょ。最初、「ケッ」と思って観てたんだけど、僕が「そうか!」と思ったのは、マクベスがバンクォーを殺す為に、暗殺者達を呼び寄せて「お前は女の顔をしているけれども、本当は、ちゃんと心まで女なのか?」と言う台詞に、「女らしい」という事はイコール勇気があって人殺しもできると言う、従来の「男らしい」って言葉も逆転しているんだと実感しました。」と自身の見どころポイントを披露。「男が外で狩りをして、女が家を守るのが当たり前と昔は思われていたのに、今の時代、逆転まで行かないけど現実にだいぶ変わってきたでしょ?100年後、これから近未来にこの逆転も成り得るかもしれないと思いました。ライオンみたいにね。女が働いて男は家で寝るてるだけみたいな。それ考えると(本作は)ただのおとぎ話やコンセプチュアルアートではなくて、全く有り得ないことではないんじゃないかと思いましたね。」と感心した様子で語りました。

古城さんは、「なぜ、女性が戦う世界になっちゃったの?」って役者のみなさんにも言われるんですけど、僕は、「わかりません。勝手に考えて下さいって(笑)って言ってます。ドラマ、映画にもなったよしながふみさんの漫画『大奥』では、若者の男性特有の疫病が流行って、男がことごとくいなくなった背景があって、男女逆転での「大奥」なのですが、『男女逆転マクベス』では、そのバックグランドはそれぞれ考えてもらっていいんです。日本は男女差別が未だにあると思っていて、女性が色んな権利を獲得することが先進国の中でこんなに大変な国ってあるのかなって思いもあって、今、闘わなければいけない状況に女が置かれていて、闘う事でしか色んなものを摑み取れないんだよと言う事をコンセプチュアルアートとして、本作から色んなことを感じ取ってもらえたら」とアピール。

その後、小田島さんが翻訳を担当したミュージカル「ピピン」でもリーディングプレイヤーが男性から女性のクリスタル・ケイさんに変わり、新たに女性言葉に書き直すも中性的な表現への要望もあり戻したり、アメリカ人女性演出家ダイアン・パウルスならではのジェンダーや人種差別問題へのメッセージをも含んだ新しい表現がハマっていると絶賛。本作についてもマクベスの「マク」は、「〇〇の息子」の意味を持つ名前だから、女性がやるのには無理があるが、「今の日本の皇室問題に対する問題提起なのではないか?!」「門番だけは何故男女逆転してないの?!」など、小田島さんの受けたインスピレーションからの鋭い指摘で古城さんに切り込み、大盛況のうちにトークショーは終了しました。

劇団ワンツーワークス 男女逆転〈マクベス〉は、赤坂・レッドシアターにて絶賛上演中!

詳細は、劇団ワンツーワークス公式サイトへ

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

動画インタビュー!【小野由香特派員】

注目記事 TOP10!

ページ上部へ戻る