草刈民代×髙嶋政宏 二人芝居 「プルガトリオ あなたと私のいる部屋」本日千秋楽!

池袋・東京芸術劇場シアターウエストにて絶賛上演中の 草刈民代×髙嶋政宏 二人芝居 「PURGATORIO あなたと私のいる部屋」を観劇してきました。舞台は、正に男役を演じる髙嶋政宏と女役の草刈民代さんが、監視カメラ付きの独房のような部屋で彼女が犯した罪についての尋問にあっているところからスタートします。男は女から自供を引き出す取調官なのか、精神鑑定士なのかと推測しようとするもさにあらず・・・。

一場は、映画・テレビで見せるユーモラスな髙嶋政宏さんを一新するような優雅なダンディぶりと、凛とした佇まいで気品あふれる草刈民代さんのまさかのビッチぶりに驚かされました。暗転は、二場、三場への部屋への切り替えのみ。ある意味、超長回しの二人のノンストップ会話劇90分に引き込まれました。

原作は、チリの劇作家 アリエル・ドーフマン。作品はギリシャ悲劇『王女メディア』、ジャン=ボール・サルトルの『出口なし』をモチーフに描かれた本作。さぞや古典では?と思いきや、まったくの現代劇と言ってもいいほどの会話劇。しかもそのテーマは、夫である「男」の浮気。浮気は男の甲斐性、女性は寛大な気持ちで接するのが女の器量ととらえやすい日本とは少々勝手が違い、徹底的な口論・議論で対峙します。また、その浮気の代償は、「男」との間に授かった子供達を「女」が、怒りのあまり殺してしまう為、物語は男女の痴話喧嘩に留まらない領域で進行します。

何と言っても、戯曲の素晴らしさに引き込まれました。一場での二人が、二場、三場で解き明かされ、そしてその二つの部屋をつなぐ関係性など、一つ一つにその存在意義と趣向が活かされ、二人芝居の演劇ならでは魅力にあふれており、草刈民代さんが本作に惚れこみ日本初上演を実現させようとした役者としての情熱がひしひしと伝わってくる作品です。

髙嶋政宏さん演じる「男」の挑発紛いの取調に怒り心頭。女王メディアさながらの怒りの独白は必見で、男女間の愛に留まらず、人が人を許せない時、何を人が必要としているか、そして煉獄とは何処にあるのかが物語を通して解き明かされるように思います。

本作が、ここまで物語に入り込めるのは、演出:ニコラス・バーター、脚色:周防正行監督の手腕が余すところなく発揮されています。そのエピソードは、劇場パンフレットでアフター観劇に誕生秘話として楽しんでいただくとして、舞台は今日が千秋楽!

お時間のある方は是非、この初演を目撃しに行ってみて下さい。そして、演劇を志す方なら、この二人芝居、是非、演じてみたいとクリエティブ、そして役者魂が刺激される作品ではないかと思います。

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