「これは、大人の青春ファンタジーです」前田敦子 主演!高良健吾・白洲迅 出演、映画『葬式の名人』脚本・プロデューサー大野裕之さん、和泉ちぬさんインタビュー!

来る9月20日(金)、前田敦子・高良健吾・白洲迅 出演 映画『葬式の名人』が、全国ロードショーを迎えます。

本作は、茨木市が市制70周年の記念事業として、ふるさと納税によるクラウドファンディングで資金の一部を調達し、オール茨木ロケにより撮影。日本人初のノーベル文学賞作家・川端康成の作品群をモチーフに、映画『太秦ライムライト』脚本・製作の大野裕之がオリジナル脚本を書き下ろしました。

物語は、母校・茨木高校に10年ぶりに現れ、突然謎の死を迎えた同級生を偲んで集まったクラスメイト達が、ひょんなことから一夜限りの同葬会をすることになります。不思議なお通夜を通して、同級生の知られざる真実が次第と明らかとなります。笑いと涙の一夜を過ごしたクラスメイト達に、やがてファンタジックな朝がおとずれます。大切な人の死によって、再び結びついた同級生達の感動の一夜を描いた青春ファンタジーです。

主演で一人息子のあきおを育てるシングルマザー・渡辺雪子 役は、前田敦子。母校茨木高校教諭役には、高良健吾。元野球部のエース 吉田創 役には、白洲迅。

そして、尾上寛之、中西美帆、奥野瑛太、大島葉子、佐伯日菜子、佐藤都輝子、樋井明日香、子役 阿比留照太(あびるしょうた)らフレッシュな若手俳優達と共演するのは、銀幕のスター有馬稲子、栗塚旭、福本清三、桂雀々、堀内正美、和泉ちぬ ら映画、舞台、ドラマで活躍の豪華俳優陣が顔を揃えます。

監督は、映画『インターミッション』樋口尚文監督、撮影は、実相寺昭雄監督の諸作品の撮影を担当した中堀正夫、音楽には、『引っ越し大名!』上野耕路、美術には、『Shall we ダンス?』部谷京子、編集『戦場のメリークリスマス』大島ともよ、企画には、『母と暮せば』榎望、劇中漫画『西荻夫婦』やまだないと と日本映画界を代表する名匠スタッフ達が集結しました。

PRE☆STAGEでは、本作 脚本・プロデューサーの大野裕之さんと出演者の和泉ちぬさん に9月20日(金)全国公開 映画『葬式の名人』の撮影エピソード、みどころを伺いました。

■製作エピソード

—映画『葬式の名人』制作のきっかけは?

大野裕之さん:茨木市制施行70周年記念という事で、茨木市の方から「映画の製作ができないか?」というお尋ねがありました。

映画は、広く流通するものですから、狭い意味での「ご当地映画」は嫌です。

でも、よく考えると、大阪の茨木市と言えば、川端康成の育った街であるし、たまたま僕の母校でもある大阪府立茨木高等学校卒業の大先輩です。川端は、翻訳不可能ではないかと思える美しい日本語で小説を書き、その水準を世界に知らしめた。いわばローカルにして、グローバルな存在です。

なので、川端康成の小説を題材にして、茨木で作るというのであれば、それは凄く意味のある映画になると思い、お引き受けしました。

■川端康成の文学について

—本作は、川端康成の視線で描かれた作品とのことですが

大野裕之さん:登場人物たちが盛り上がっているところ少し引いた視点から見ているように撮影した、と樋口監督はおっしゃっていましたね。よく、川端康成は日本の美を冷徹な目で描いたと言われていますが、僕はそれだけではないと思います。彼は、茨木市の宿久庄と言うところに育って、6㎞離れた旧制茨木中学校に通っていました。一度自分の足で歩いてみたら、1時間半かかりました。繊細な書斎派というわけではなく、実はフィジカルなバックグラウンドがあると直感しました。

川端は、数えの16歳までに全ての肉親を失い天涯の孤児となった。川端の文学には冷徹な死生観で貫かれている。逆に、そんな絶望をしっているからこそのピュアな希望をも彼の文学に感じます。そこが、僕がこの「葬式の名人」の脚本を書いていた時に、川端文学に自分なりに交流していた時に一番感じた事です。

本作は、卒業生が10年たって自分達で学校の中でお通夜をして、それを見送る話なのですが、「大切な人を見送ると、また、新しい出会いがある」という台詞があります。「葬式の名人」はその意味で生きることの名人でもある。生きることの大切さも描く事ができていれば嬉しいですね。川端作品にはいつもそれが根底にあります。

高橋 遥さん(株式会社ティ・ジョイ):登場人物の名前には、なにか由来はありますか?

大野裕之さん:例えば「豊川大輔」の「豊川」は川端康成の育った豊川村の「豊川」。「渡辺雪子」の「雪」はもちろん意識しますよね。この映画の中では、「片腕」が重要なモチーフになっていますが、川端の小説『片腕』にインスピレーションを得つつ、実は、茨木の鬼伝説「茨木童子」からの連想もあります。

「茨木童子」をもとに作られた歌舞伎の「茨木」では、鬼の腕を切り落とすのですが、その腕を守っているのが「渡辺綱」。だから苗字を渡辺にしました。他にも「島村」は『雪国』から、緒方慎吾は『山の音』の主人公から取りました。

高橋 遥さん(株式会社ティ・ジョイ):男性のルールに乗らない雪子の生き方は、自分の人生のレールであるというところが『雪国』の女性達の芯の強さと繋がっているように思いました。

大野裕之さん:なるほど。他にも最後の肉親であるおじいさんを亡くした話『十六歳の日記』、旧制茨木中学の寄宿舎で同性愛的な体験をした『少年』など、川端の色々な作品のモチーフを得ました。川端康成の文章は一行も使っていないのですが、文学がお好きな人にも「あぁ!」と感じていただけるかもしれません。

『反橋』、『しぐれ』、『住吉』、『隅田川』という傑作連作があって、それぞれ「あなたはどこにおいでなのでしょうか」という一文から始まります。歌物語についてエッセイのような文章から、古今東西の絵画へと連想が飛び、ふと敷居をまたぐようにいつのまにか小説になっている。あんな作品は彼しか書けないと思います。平安時代の王朝文学以来の流れに浮かぶうたかたですよね。今の作家にはなかなかかけない。「あなたはどこにおいでなのでしょうか」と言う台詞は、映画の中にもこだましているようにも思います。

幼くして肉親を亡くした川端は、生涯をかけて「あなたはどこにおいでなのでしょうか」と探し続けたのかもしれない。映画『葬式の名人』の物語もそうです。冒頭で母校を同じくする大切な人が亡くなってしまいます。もちろん、亡くなった人は帰ってこない。生きている人も愛する母校には戻れない。でも、それを探し続け、求め続ける。大切な人やかけがいのない時間をちゃんと見送ることで新しい人生が始まるんだと思います。

■脚本・プロデューサー大野裕之さんの横顔

—大野裕之さんと言えば、日本チャップリン協会会長としても知られますが、チャップリンを好きになったのは、大学時代のミュージカル劇団「とっても便利」の頃からですか?

大野裕之さん:いえ、小学校の時です。テレビでチャップリンを観て好きになりまして、『チャップリン自伝』を読んだりしていました。高校は茨木高校に進みました。茨木高校は、川端康成、大宅壮一を輩出した、旧制中学の文学的な空気が残る学校ですが、同時に日本で初めてプールができた学校でもあります。

杉本傳という伝説の先生が、学生時代の川端康成、大宅壮一も手伝わせて、プールを掘ったんです。
日本で初めて水泳でメダルをとった高石勝男(NHKの大河ドラマ『いだてん』で斎藤工さんが演じています)など、初期のオリンピック水泳選手は茨中出身が多いんです。

歴史のある学校って、だいたい自由で文武両道だと言われていますが、やっぱり文と武は分けられないと思いますね。そんな茨木高校に入れた事が、自分の幸運の一つだったと思います。

高校卒業後、1年間浪人しました。「まぁ、来年受かるやろう」と気楽に思って、春先にアルバイトをして、夏にイギリスに行きました。チャップリンとビートルズが好きなので。行ってみると、ロンドンは本当に演劇の都で、たくさんのミュージカルを見ました。帰国して翌年、京都大学に入ってミュージカル劇団「とっても便利」を旗上げしました。チャップリンをはじめとした映画研究は大学院に進んでずっと続けて、他方、実践・実作活動として演劇・映画をやっています。積み上げていったものを作品にするという意味ではどちらも同じで、「研究」と「実践」は車の両輪のようなもので、それらを分けたことはないです。

■和泉ちぬさんと大野裕之さんの出会い

—和泉ちぬさんとは、黒鯛プロデュース第7回公演「相続してもいい頃」に出演されたのが初めての出会いですか?

 大野裕之さん:もっと前ですね。僕が2008年に青山円形劇場で劇団とっても便利ミュージカルの『complex』という作品を上演する事になりまして、「誰かいい人いないかなぁ・・・」って探した時に、人づてに和泉ちぬさんをご紹介受けました。その時はたまたまその作品には出演していただかなかったのですが、「何か一緒にやりたいよね!」って意気投合しました。

その後、福井県の劇場からオファーがありまして短編の二人芝居を僕が書きまして、ちぬさんに出演していただきました。黒鯛での「相続してもいい頃」は、その後になります。それ以降もNHKドラマ、映画『太秦ライムライト』等、ご一緒しています。

—役者としての大野さんはいかがですか?

和泉ちぬさん:えっと‥サルバドール・ダリとか、忌野清志郎みたいな感じです。ちょっと褒めすぎかな〜でも、そんな感じ。

大野裕之さん:僕、忌野清志郎さんの大ファンですから、そうおっしゃっていただくのは光栄です!

和泉ちぬさん:今日もTシャツ来てるし!(笑)

—本作での和泉ちぬさんの役どころは?

大野裕之さん:前田敦子さん演じるシングルマザーの義理の両親の母親役、息子の祖父母になりますね。ある事を機に孫がいると初めて知り、困惑しながらも受け入れていくと言う非常に難しい役になります。過去からの色々なわだかまりも乗り越えていく役です。

ちぬさんは、パッと出て来て、パッと周りを明るくする瞬発力のある演技が得意な方なのですが、「実は、ちぬさん、こっち側がいいんだよ」という監督からの提案がありまして、今回は、敢えて我々がよく知っているちぬさんとは違った役柄を演じていただいています。そっちがちぬさんの本質に違いないと。

和泉ちぬさん:樋口監督は、昔やった連ドラを覚えていてくれて、そのイメージがあるらしくて。でも、私の素に近いのはそっちなんですよ。だから監督の言葉を聞いて、役者をやっていて良かったなぁって思いました。

—和泉ちぬさんの演じた義理のお母さん役に共感した部分はありましたか?

和泉ちぬさん:役者の仕事として、その役を演じる時は常にそれを理解しようとするので、今回の仕事もそれを考えながらも楽しくやらせていただきました。

撮影中は、どなたとのシーンが多かったですか?

和泉ちぬさん:旦那役をやって下さった堀内正美さんです。堀内さんは、私が東京に出て来た時から知っている方です。一番最初の事務所が同じで、時々仕事で一緒になるんです。年齢的にも仕事のパートナーとしてよく合うんでしょうね。質が似ているのかもしれない。久しぶりに堀内さんに会って、元気で良かったなと思いました。楽しかったです。

■豪華スタッフ陣について

—樋口監督に今回の撮影をお願いしようと思われたのは?

大野裕之さん:企画の榎望さんと相談してお願いしました。以前、榎望さんと松竹の山本一郎さん、(当時)SMTの秋元一孝さんらと、ヒッチコックのサイレント映画のデジタル修復版を日本で初めて上映した時に、樋口さんにトークゲストで来ていただいたことがあります。

榎さんや僕に限らず樋口監督の二作目を観たいとみなさん思っていらしたと思いますので、是非、お願いしようと思いました。

樋口さんは実相寺昭雄監督の研究者でもありますが、カメラマンは実相寺組で長年活躍された中堀正夫さんにお願いしようという事になりました。中堀さんは、75歳の現役最長老です。

 

美術の部谷京子さん、編集は大島ともよさんで、映画『戦場のメリークリスマス』を編集された方。

そんな感じで、映画『葬式の名人』のスタッフ陣は、「日本映画の巨匠コレクション」と言えるかもしれませんね。それは、樋口さんの夢だったんじゃないかな。樋口さんは、強権的な監督と言うよりは、オーケストラの指揮者のように巨匠達の繰り出す音色をブレンドされたと思います。撮影、美術、編集などなど、色んな角度から観て面白い映画になったと思いますね。

 

 

■豪華キャスティングエピソード

—和泉ちぬさんをはじめ、ベテラン役者のみなさんが出演されていますが、そこにも狙いがありますか?

大野裕之さん:やはり映画が豊かになりますよね。特に有馬稲子さん、栗塚旭さん、福本清三さん。皆さん伝説の人物ですから。有馬稲子さんは、小津安二郎さんの映画で主演ですからね。

そういったスターのみなさんが現場でやっているのを見せていただくだけで素晴らしいなにかをいただけますし、映画を作るものの端くれとして綿々と続く歴史を次へとバトンを繋いでいかなければならないという想いも芽生えます。大御所の方には、その方にしか出せない時間と空間があります。それは何ものにも代えがたいものがあります。ご一緒できて、本当にありがたいと思っています。

脚本を書く作業は、俳優さんに喋っていただいた瞬間に完成すると思います。「あ!僕が書いたキャラクターってこういう人やったんや!」って脚本を書いた側が教わるんです。書き手目線から観て「そんなキャラとちゃうねん」って言うのは一切ありません。現場では、「こういう人やったのか・・・よくわかりました!ありがとうございます!」って事ばっかりです。

和泉ちぬさん:今回、キャスティングが良かったよね!

大野裕之さん:企画の榎さんと樋口監督と僕の三人で考えて、「この人でお願いしたい」って言っていた方に決まって嬉しかったです。

和泉ちぬさん:それは、脚本が良かったからね。脚本を読んで最終的にやるかやらないかを決めるのは役者だから。

大野裕之さん:そうですね。この作品を面白がって下さった方が寄ってたかって完成しました。スタッフの方も「面白い映画を作ろうよ!」という心意気で。とにかく映画好きの職人が集まって作った作品ですから、映画好きにはたまらない作品です。

和泉ちぬさん:映像が綺麗で品があるんですよ。

大野裕之さん:やっぱり中堀正夫さんですね。

■前田敦子さん、高良健吾さん、白洲 迅さんの魅力

—近年、前田敦子さんの映画での躍進が目覚しいのですが、多くの映画監督からオファーを受ける前田敦子さんの魅力は?

大野裕之さん:私のようなものが前田敦子さんに語るのは非常に恐れ多いのですが、やはり前田敦子さんは、マイナーな映画を含めて色んな映画をご覧になっていて、すごく研究熱心でいらっしゃいます。そして、物事の本質を瞬時に掴むのが凄い。瞬発力のある知性と感性の持ち主でいらっしゃいます。普通だと順序を追って説明しなければいけないことも、瞬間的に本質を掴まれる。世の名だたる監督が前田さんに惚れこむのは当然だと思います。

和泉ちぬさん:私、和泉聖治監督のアガサ・クリスティでご一緒したのですが、やっぱりいい女優さんだなぁと思いました。

大野裕之さん:ある場面で、前田さん演じる雪子が号泣するシーンがあるのですが、リハーサル含めて4回やって4回とも号泣の演技をなさるんです。

和泉ちぬさん:みんな周りも泣いているの。感極まって。

大野裕之さん:その集中力が凄い。

—高良健吾さん、白洲 迅さんは、昭和の映画スターのように端正で正統派、華のあるお二人を起用されたと思いましたが、そこに狙いはあったのでしょうか?

大野裕之さん:実は私は前から高良健吾さんの大ファンでした。メジャーな大作映画から、癖のあるアート系の映画、そして『軽蔑』のような中上健次原作の文芸作品まで、色んなタイプの作品にご出演なさって、どれも素晴らしい。今回、出演が叶って本当にありがたい事だと思いました。

和泉ちぬさん:私も映画『武士の献立』で高良健吾さんとご一緒したのですが凄く良かったですよ。最近、鬘の似合う役者さんって少ないんですが凄いよく似合っていて。

大野裕之さん:やっぱり、映画俳優ですよね。

和泉ちぬさん:そう、高良さんは映画俳優ですよ。

大野裕之さん:そして、人気急上昇の白洲 迅さんに参加していただいたことで新しい色を加えてくださいました。今回、役としては特殊な役で難しい役どころなのですが、それを本能的に掴み取ってやって下さいましたね。天性の明るさと深い影の両方を兼ね備えていて、人生の裏表を一瞬で見せるような表情を持っていますね。二人共とっても素晴らしい方ですね。

—メインキャストの三人が大阪のご出身ではありませんが、そこは苦労されなかったのですか?

大野裕之さん:大阪の言葉に関しては、私と大島葉子さんが全部吹き込んでみなさんにお渡しして、すごく熱心に練習してくれました。撮影の合間にも「ちょっと大野さん、これでいいですか?」って呼ばれて、毎日一緒に練習してました。大阪は、茨木に代表される北摂、河内、泉州と、それぞれのアクセントがあって、テレビで観るコテコテの大阪言葉と北摂の言葉は違っています。北摂は大阪と京都の真ん中なので、もうちょっとゆったりとした穏やかで柔らかい雰囲気ですね。茨木市の地元の人が映画を見て、前田さん、高良さん、白洲さんの言葉を聴いて、「これはまぎれもなく北摂の言葉だ」と感心していました。みなさんキャラクターと言葉を掴んでその人しかできない言葉でやっていただきましたからありがたいですね。

■母校茨木高校での撮影について

—母校での撮影はどうでしたか?

大野裕之さん:私達の頃は1931年に建てられたボロボロの校舎だったのですが、建て替えられて新校舎になって、それは凄く寂しいです。でも、生徒の雰囲気がまったく変わっていないのが嬉しかったです。

茨木高校は大阪府の旧制第4中学校から120年の歴史を持つ学校で、いわゆる「進学校」なんですが、実は体育祭にすべてをかける学校です。普通体育祭って、徒競走などの競技が中心ですが、茨高は、「応援団(創作ダンスに近いものです)」「マスゲーム」「マスコット」(竹の資材で作る2mぐらいのオブジェを作る)などの演舞部門が主なんですよ。1〜3年まで、1クラスずつ縦割りでの団を作って、3年生が応援団などの振り付けを創作し、1・2年のメンバーと一緒に夏の暑い間ずっと練習して、9月の体育祭本番に燃え尽きる。これがかけがえのない経験になる。社会に出てから茨高出身の人に出会った瞬間に、「体育祭は援団でしたか?」「いや、マスゲームでした!」など、すぐに盛り上がるほど、母校愛が凄いんです!(笑)

だから、撮影で学校に行ったら援団やマスゲの練習が始まっていて、僕らの時と一緒やと思って、胸がいっぱいになりましたね。

あと、撮影をしていいかどうかは、校長先生が決めるのではなくて、最終的に生徒会執行部が判断しました。ちゃんと「生徒自治」の伝統が残っているのも感心しました。茨木高校も、その後進学した京都大学も「自由の学風」で、そういった場所で学ぶことができたのは自分の礎になっています。今回は、自分のルーツを確認しながら、色んなエネルギーをもらって撮影できて、本当にこの上ない事でした。今回の出演者、スタッフの方も「自分の母校の次に茨高が好きになった」とかおっしゃってくれてそれも嬉しかった。

母校って、すごく大切な場所で、かつ二度とあの頃には戻れない場所ですよね。今回の映画のテーマの一つだと思っています。個人的な感慨を超えて、この映画をご覧になった方が、それぞれの大切な場所を思い出してくれる、そんな作品になればいいなあと思っています。

先日、本作が上海国際映画祭に正式招待されて、ワールドプレミア上映されました上海の方の反応はとてもダイレクトで、爆笑したり、ラストはすすり泣きしたり…国境を越えて共感していただいたことをありがたく思いました。

—母校の若い世代のみなさんに伝えたいメッセージはありますか?

大野裕之さん:ないです!僕が高校生だったら、「たかが卒業生が来て映画を作ったからってなめんなよと」、「何おっきな顔でやってんねや」って文句言いますから。高校生に伝えたいメッセージなんて一切ないです。僕が高校生の時なら大人からのメッセージは絶対に信じなかったから。ただ、「私は、ここでみなさんと一緒に映画を作る事ができて、本当に幸せでした」とそれだけ言いたいですね。

—それでは、お二人から映画『葬式の名人』を楽しみにしていらっしゃるみなさんにメッセージをお願いします。

大野裕之さん:主演の前田敦子さんが一言で「これは大人の青春ファンタジーです」と一言で見どころをおっしゃってくださいました。この映画をご覧になった方が、もう二度と戻れない大切な場所や二度と会えない大切な人のことを思い出して、また前を向いて歩いていける、そんな作品だったらいいなあと願っています。

それに、これはシングルマザーの話なのでもあるので、ご覧になった女性の方に凄く共感していただいて。

和泉ちぬさん:女性が見ると、なんだか涙が出ちゃいますね。

大野裕之さん:息子役の阿比留照太(あびるしょうた)くんが、本当に素敵です。前田敦子さんと普段から仲良くなって、実の親子のようでした。その二人のリアルな親子感が凄く出ていると思います。

和泉ちぬさん:私が出来上がりを観て感じたのは、静かな中に綺麗な絵があって、人の綺麗な心が流れていて、なんだか知らないけど涙が出ちゃうなって。何度も台本も読んだし、現場にも居たにも拘わらずそう思えたのが、最近ではなかなかないような凄くいい作品だなと思います。ずっと残っていく作品だなぁと思ったので是非観て欲しいなと思います。

映画『葬式の名人』は、9月20日(金)全国ロードショー!
詳細は、映画『葬式の名人』公式サイトへ

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