Apple Store Ginza 「Meet the Filmmaker」 に 映画「ラスト・ナイト」 紀里谷和明監督登壇!【後編】

24日(土)銀座・Apple Store Ginza にて、11月14日(土)映画「ラスト・ナイト」が全国公開の紀里谷和明監督が、Meet the Filmmaker に登壇。中谷祐介さんがモデレーターによる1時間のトークショーその【後編】をお届けします!

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◆紀里谷和明監督の休日

—ちょうどここで、イベントも折り返しぐらいなんで、ここでちょっと映画と離れてリラックスした話しをしたいのですけれども、紀里谷監督そもそもお休みってあるんですか?

紀里谷和明監督
「ここ数年無いです。先日ある仕事でハワイに行って、たまたまある1日中寝ちゃったんですよ。それが久しぶりの休みですね。その前は覚えてないと思います。結局、こういうい仕事をしてますと、休みだと言う事になっても休みにならないんですよ。何故かと言うと、常にメールがバンバン来ちゃうし、それで常に次の脚本とか今やってる企画だとかずーっと考えちゃって、手を下しちゃうし、結局、何かをするしかない。これが難しいのが今、自分が日本とアメリカの仕事をしているんですけども、日本の仕事が終わる頃にアメリカの仕事がオープンしちゃうんで、夜になったらアメリカの仕事しなきゃいけないんで、一番ひどい時なんか、携帯片手に握り締めたまま寝てるんですよ。で、ブルブルってなるとタァーと対応して、また寝てと言う事をずーっと繰り返していましたね。で、映画の現場もそうで、撮休というのもあるんですけどもやっぱり監督というのがそこでも対応しなきゃいけない事がたくさんあって、とにかく休みないですね。」

—今回の5年ぶりの最新作って言った時に、「5年のうち3年ぐらい休んでたんとちゃうの?」みたいに思ってらっしゃる人いらっしゃるのかもしれないですけど、違いますからね。紀里谷監督のペースだと5年ガッツリやってここに集結してるって事をみなさんに伝えたいなと。

紀里谷和明監督
「伝えといてください」(笑)

—映画監督によっては、ファミリーマンだったりすると、それこそJ・J・エイブラムスなんかに会うと「俺、来週から休みなんだよね。」意外とニコニコ。みなさんタイプによって違いますよね。

紀里谷和明監督
「違うし、それはいいことだよね。家族がいると違うんでしょうけど、いませんからね。」

—監督はもうどちらかと言うとガッツリ?

紀里谷和明監督
「他にすることがないんですよ。趣味もないですし、どこかなんか旅行に行きたいって言っても常にどっか行かなきゃいけないし、できることなら飛行機乗りたいと思っちゃうし、だからなんかね、お酒飲むくらいですかね。」

◆「とにかくやりながら考える」紀里谷和明監督 誕生の経緯

—すごく面白いところは5年間びっしりやってた制作の中で、クリエイティブの問題と結構大事な問題として、この映画「ラスト・ナイツ」のプロデューサーでもあるということは、もの凄く外せないポイントだと思います。簡単に言うと選択すると言う自由を得る為に、どれだけ苦労しなけばならないという事をあまり語られていません。ですので、今日は、その点がかなり重要なので、その点をお話いただきたいと思います。そもそも1作目2004年の「CASSHERN」段階でご自身で企画を立てて、ご自身で資金を集めて映画を作るとし始めたわけですよね。それはもう、最初からそうしようと思って始めたことですか。

紀里谷和明監督
「そもそも写真もそうだったんですけど、待ってても何も起きないと思ってまして、何かみなさんでもやりたいと思われるわけですよね。例えば「音楽やってみよう」「俳優やってみよう」何でもいいじゃないですか。多くの人がそれには、まず、「学校に行かなければならない」もしくは「アシスタントをやらなければならない」。それはその通りかもしれませんけど、そこは僕はまるっきり考えないですね。じゃぁ「写真を撮らなきゃいけない」って言ったら何が必要なのって考えたら、それはカメラでしょ。想像がつく範囲でドンドンドンドン進めて行って、とにかくやって行くうちに学んで行くって方式なんです。だから「CASSHERN」の時も映画を撮ろうって話になった時にじゃぁどうしようかってなった時に、原作は、僕が「CASSHERN」がいいって言ったんで、タツノコプロさんのミーティングでお話に参加させていただいて、オプションを取るところから始めていきましたね。それもやってみて始めてわかったのですが、飛び込みで行って1時間半くらい話したらその場で「わかりました。」みたいなことになっちゃったし、じゃぁお金必要じゃんってことになって、色んな人に話をしたら松竹の社長さんに紹介していただいて、そこでお金が出ることになったという感じですね。こういう話方をするとなんだトントン拍子じゃんと思われるかもしれませんけど、そこに至るまで、もの凄い人数の人に会ってるし、もの凄いドアを叩いていると。今回の「ラスト・ナイツ」も最終的にはアメリカのスタジオがこれをハンドルしてくれなくなって、インディペンドでやらなきゃいけないと。で、一緒にやってる色んな国のプロデューサーが動いて、どうにかしてお金を持ってこなきゃいけないって事で、同じように色んな人にお会いして、説明をしてって感じですね。とにかくやり始めなければいかんというのが僕の哲学。やりながら考える。以上みたいな。」(笑)

◆納期・予算厳守のKIRIYA PICTURESのモノづくり

—みなさんが監督に持ってるイメージとこの紀里谷監督の話って若干ズレてると思うんですよ。そこが紀里谷作品の魅力でもあると思うし、監督の非常に面白いところだと思うんですよね。非常にやりたい事があるとき、「ああやりました」「こうやりました」だけじゃなくて、やる為にはその環境を整えるところまで自分で全部やる。まぁ、そりゃあ誰かがやってくれたらそれに越したことはないと監督思うかもしれなけど。

紀里谷和明監督
「そうですね。「CASSHERN」やってる時に凄く愕然としたのが、現場での効率性ですね。こういう事を言っているとまた批判されるから気をつけなければいけないけど・・・」

—ダメですよ。(会場笑)

紀里谷和明監督
「もうちょっと効率よくいくんじゃないかと思っちゃうわけですよ。だから「GOEMON」の時には、制作会社を作って自分のところで制作をするというシフトにしました。制作をしますってことをしていると、また言ったら怒られるけど、宣伝プランとかどうにかならないのかと。」

—気をつけてくださいよ。(会場笑)

紀里谷和明監督
「宣伝プランとかもうちょっとどうにかなるんじゃないかと。配給もやってますけど、これは純粋に勉強したいとやっておりますが、やっぱりドンドンドンドン勉強したいんですよね。自分達で知りたい効率のよいやり方をやっていくことじゃない限り、やっぱり作家性が担保できないように思うんですよ。いつもプロデューサーというのは、「監督にはお金の心配させませんから」と言うのですけども、結局心配しなきゃいけなくなっちゃうんです。最終的には、「そのシーン削ってください」「そのシーンどうにかなんないですか」「忘れて下さい」になっちゃうんですよ。「それだったらちょっと待って下さい」「お金の話ですよね」「もしかして時間の話ですよね?時間の話だったら物凄く早く撮ります」KIRIYA PICTURESは、一度も納期遅らせたことないんですよ。時間も遅れない。オーバータイムもほとんどない。予算も飛び出したことがない。何故かと言うと物凄い効率化を考えちゃうから。」

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—ここでちょっと解説しておくと映画は、一人では作れないので大量のスタッフと機材、動いています。カメラなりライトももちろんかりてくるものですし、人件費もかかるので、映画の中で「時間」と言うのは「金」のことです。

紀里谷和明監督
「まさに、その通りでどうやって効率化してやっていくことをクリアしていかない限り、自分がやりたいシーンとか削られていっちゃう可能性があるわけですよ。そこはいくら作家性を唱えても結局そこに落とし込まれていくのであれば、そのお金の部分、制作の部分をこちら側でコントロールして行って、なるべく無駄なお金は排除して、スクリーンの上で乗っけていくって行くのが僕の考え方ですね。例えばわかりやすく言うと、夜12時以降って電車がなくなっちゃいますよね。横浜かどこかでやってるとしましょうか。それでスタッフが200人いると。それで12時超えちゃうと「送り」って言ってタクシーになっちゃうんですね。それが100人いたとしましょう。それでタクシー代が1万円かかるとします。そうすると100万円になっちゃうわけですよ。1時間押しただけで。しかしながら、美術部、衣装部だと「監督、ここで5万足りないんです。20万足りないんですって言ってくるわけです。本当にそのくらいのことなんですよね。僕が本当にやりたいと思っていることを後20万足りない、30万足りないって言われてるのに、それなのにタクシー代で100万円使われてたりするんですね。もっと言えば、弁当代が100円違うだけで、3ヶ月に及んだら、全然違う金額になってくるんですよ。だから、そう言う事を徹底的に見ていかないと、結局自分がやりたいと思うこと、また、それ以上のことをできないんだと、僕は早期の頃、ミュージックビデオやってる頃から理解しまして、かなりシビアにうちはやります。「時間通りにやろう」と。ダラダラするのは止めようって言うのがまず1つ。それとダラダラやって押すのはいいんだけど、結局次の日に影響しちゃう。ドンドンドンドンプレッシャーが現場のスタッフにかかっちゃって事故が起きちゃう。事故が起きちゃうと現場が止まっちゃう。現場が止まっちゃうとまたお金がかかっちゃうという悪循環におちいるので、とにかく無駄な時間とお金を使わないようにしましょうねってやってますね。」

—今回のお話を踏まえた上で、映画「ラスト・ナイツ」の雪のシーンがあれば出していただきたいのですが。コストかなり頑張るという話の上で、過酷な場所で撮ってわけですよね。その前提で話を聞いていただきたいのですが、これはどこの写真ですか。

紀里谷和明監督
「チェコ共和国でマイナス20度~30度になりますね。」

—マイナス20度の中で、機材と人を全部管理して、そうとうマネージメント的には大変と思うのですが、それでも先ほど言われた事を踏まえてもここで撮ろうと思われた理由は何ですか。

紀里谷和明監督
「この前もインドで撮ろうとしていて、そこでもやっぱりコストの問題であったりいろんなプロデュースの問題でできないってことで2日後に、チェコに飛んで全部やり直したんですけど、今回撮影日数も限られた中でやっていくってことで物凄いスピードが求められるんですね。現地のスタッフともかなりディスカッションしたと思いますけど、最初はちょっとそのカット数を撮るのは無理だと言われたんですけど、とにかくやらしてくれって絵コンテ書いてみんなにわかるようにしておいて、現場で悩まないようにして作りましょうって事にしておいて、本当スタッフ一生懸命やってくれて撮りきったんですね。」

—前二作を考えると、監督の作品はコンピューターグラフィックスを使った作品のイメージが強いんですけど、実は一作目の頃からセットで立てられるものならば立てられたかったんじゃないかと。

紀里谷和明監督
「そうなんですよ。セットもそうだし、なるべくロケーションだったりもリサーチしましたし、特に「GOEMON」においては、「CASSHERN」とはまったく違う方法を取りたいと最初から念頭にありまして、とにかく色んなロケーションに行ってその可能性を探りました。しかし、そのやっぱり予算の話がありまして、すいませんね金の話ばっかりで。それで計算していきますとどうしてもできない。そうやる為には、脚本をコンパクトにしないといけない問題が出てくる。それだけはやりたくない。そこが難しいんですよね。だったら「CASSHERN」と同じグリーンスクリーンでやろうと言うことになってくるんですね。スケール的には、「CASSHERN」より全然大きいので、そこはとにかく大変でしたね。」

—今回の「ラスト・ナイツ」は、本当にそこに行って、極めて過酷なところに行って、本当に回していると、キャストも監督一作目から言ってましたが、国境関係なく、本当に作品に合う人を選んでいる。その点で監督のモノづくりが、変わってないものがやっと1つ形になった印象があるんですけど。

紀里谷和明監督
「そうですね。ここで初めて自分が、また、お金の話になるんですけど、予算がそのリアルに撮るという事が可能になったわけですね。まぁ、どっちがいい悪いの話じゃないと思うんですよ。とにかく「CASSHERN」でやったことの真逆をやりたかった。そのパレットを右から左まで手に入れて、じゃぁその次に何をやるんだって言う事なるわけですよね。」

—これだけ準備しても監督の思い通りにならない事って必ず出てくるわけじゃないですか。具体的に言うと自然現象ですよね。山ですから雨降ったり、雪降ったりするわけじゃないですか。

紀里谷和明監督
「ありますね。映画を作っていらっしゃる方、みなさんお分かりだと思いますが、天気はコントロールできなくて、天気待ちとか、雲待ちとかする方いらっしゃいますよね。で、それも今回もちょっとやりましたけど、それをやってる時間もないという中でどうするのかって言う中で、どっかで変な話なんですけど「神様がプロデューサーだ」みたいな話があって、なんでここで雨が降っちゃうの?なんでここで雪降ってくれないの?みたいなことがあるんですね。言ってもしょうがないことが、例えばここで用意してたものが壊れちゃったとか。リクエストの人が来なかったとか。ありとあらゆる人のハプニングが起こって行く。やっぱりそれを全部受け入れて、そういうものだと思って作品をドンドン進めていくと振り返った時に、あそこで雪が降らなかった理由はこういうことだとそう思えるんですね。降らなくてよかったと思えるんですね。もしか、あれで雨が降らなかったら、雨になってよかったねと思えるって、僕の経験上思ってまして、なるべくコントロールするようにしますけど、広い気持ちになれるって思いますね。」

—そういう意味で完璧に制御できる写真の世界から、上手くいかないこともあるけれど、予想外のコラボレーションの力だったりが映画の魅力だったりして、監督映画をずっとやってきて11年ですか。やっぱりここで、大きい形になったなと言うのが、僕は映画を最初に観終わった後の最初の印象だったのですが。

紀里谷和明監督
「そうですね。「CASSHERN」から本作まで三部作って印象が僕の中ではありまして、これで1つの章が終わったって気分なんですね。で、11年前って言うのは、もっと自分は力があると思っていた。それで生意気な発言をしたりとか突っ張ってた時期もあるのですけれども、11年で3本しか撮れてませんけど、撮り終わって思い知らされるのが、どれだけ自分がちっぽけかと言う事ですね。これ、謙遜でもなんでもなくて、自分のちっぽけさを思い知らされる。やっぱりそこは、スタッフさんの力。それをサポートしてくれるオーディエンスであり、宣伝チームであり、配給の方々。自分が神様って言ったらなんですけど、見えない力を思わずにはいられない感じです。本当、そう思います。」

—そう言う事も、一個の映画の中にきっと感じられると思いますし、そのいわゆる人の力って言うのがどれだけ大っきいものかと言うと、面白い事にこの映画の根幹にちょっとリンクしてますよね。そこがこの映画の面白いところだと思います。これが完璧に制御されていたらここまで感情移入することはなかったのかなと。そこが面白いところですね。前にお会いした時に、この映画は、上手くいかないなって事を魅力的に感じてるって申し上げたんですけど、上手くいかない時はイライラします?

紀里谷和明監督
「イライラするんだけど、いつも言ってるんだけど、映画って言うのは僕にとって子供なので、リアルな子供はいないんですけどね。そういう気持ちなんですね。子供って言うのは作るまでは、ああいう子供になって欲しいとかあぁだこうだと思うのでしょうけれども女性の方で、子供さんがいらっしゃる方だと思うと思うんですけど、子供ってもの凄い苦しみと共に生まれてくるじゃないですか。その時には、その子が男だろうが、女だろうが、いい子だろうが、悪い子だろうが、産まれてきてくれたらそれでいい。それで生まれてきれてくれたらありがとうって事だと思うんですね。僕は、「ラスト・ナイト」やってて本当、そんな気分でした。最後の方とかこの子死んじゃうじゃないかと何度も思いましたし、とにかくもう生まれてきてくれてありがとうって事です。ここのディティールがどうのこうの言ってること以前に、もう今回、そこの領域に行っちゃってますね。」

—監督のここまでの魅力もありつつ、今までにない魅力の作品になってますので、是非、劇場公開で観ていただきたいと思います。

◆紀里谷和明監督 会場とのQ&A

—【観客の方】さっきの話しで仕事で人の意見を取り入れるってあったと思うのですけど、ツイッターとかニコニコ動画でも会ったことのないような人の意見もディスカッションされてるのが印象的ですけども、そういう事をされるきっかけは何かあったのでしょうか。

紀里谷和明監督
「人の意見を聞き始めたきっかけですか。」(会場笑)「自分が一番勉強するんですよ。人の意見を聞いてディスカッションし始めるのって。僕はその議論を交わす事は対立だと思ってませんね。とかく対立だと思われがちな行為ですね。特にこの国では。そういうんじゃなくて、「知りたい事がある」「伝えたい事がある」「相手の思っていることが知りたい」「どう思っているんだろうか」が、僕にとってはすごく重要。例えば今日もみなさんはどう思っているんだろうか。何を聞きたいんだろうかって事が僕にとっては重要なんです。それにやっぱり僕は向き合いたいです。人と。ネットを通してでもいいから。何故かと言うと、そうしなければそこにいる、それをやってる意味がない。例えば今日だってこちら側の都合だけで話をして、みなさんが本当に求めてるものが得られなければ意味がないと思うし、僕がこれ早く終わんないかなぁなんて思ってやってると、ここでやってる意味がない。ここにいて、向き合わせていただきたい。向き合っていただきたいと僕は思う。とにかく向き合う事が、僕はとてもとても重要だと思います。それは役者さんともそうですし、役者さんとお仕事する時、スタッフさんとお仕事する時、とにかく向き合ってお仕事していく。それで議論になろうが、口論になろうが僕はかまわない。何故ならば、納得しなければならない。納得するまで話し合っていく。納得するまでディスカッションを重ねていくと言う事が僕にとっては重要なんです。だから、そういう事するんだと思います。何故かと言うと僕が学びたいから。答えになりました?」

—【観客の方】はい。

—ちょっと補足します。それは、映画と観客の関係もそうだと思いますか?

紀里谷和明監督
「そうだと思います。ある番組で僕が批評家の人とバトルしたみたいな話になってますけど、全然そういうつもりじゃなくて、何故、そういう風な発言をするのか、発言をするに至るまでの何故、そういう考え方をするようになったのかをまず知りたい。そこなんですね。純粋に知りたい。「それはちょっと違うんですか?」って言いたい。何故ならば、例え作家と評論家の関係であってもそれは共存しなければならないと思う。メディアもそう。色んな事を言う人もいるけれども、その業界として成り立っていかない。そこは馴れ合いではなく、いい関係になりたい。いい関係っていうのは馴れ合いじゃないですよ。誤解しないで欲しくないのですけれども。だったら誤解があったなら先に進んで行くってほど、まずいものはないんですね。対立の図式にしたいわけじゃないんですね。業界の人達は、とても重要だと思っているし、メディアの方は重要だと思っている。だが、何故そのような事を書くのか。何故、その事を言うのか。もし、その事に誤解があるならば、解きたいし、どういう思いがあるのか聞いていただきたい。伝えたいって言うのが凄くある。」

—他の質問の方いますか?

—【観客の方】はじめまして。気の早い質問かと思いますが、次の撮りたい映画とかドラマとかあるのかなと聞きたいのですが。

紀里谷和明監督
「映画監督と言うのは、常に次の次くらいまので企画が進んでしまして、次のやつも進んでいまして、それはまったく新しい章が始まるって感覚で次のやつは考えいます。全然今までとは違います。」

—念のため、伺っておきたいのですが、「CASSHERN」5年、「GOEMON」から5年なんですけど、5年待たなくていいですよね?

紀里谷和明監督
「待たなくていいです。」(笑)「僕が一番嫌なんです。5年越しなんて。自分でもなんでこうなるのかわかんないですけども。とにかくもっと早く作っていきたいです。」

—他の質問ございますでしょうか?

—【観客の方】今日はお話ありがとうございます。今まで色んなところでインタビュー聞かせてもらってきたのですが、昔からお聞きしたかったのは、10代の前半から海外に方に行かれると決断されたのですか?今も大きな決断されると思うのですが、どういう判断基準でされているのかお聞きしたいです。

紀里谷和明監督
「なるほど。判断基準って言うのは、色々あると思います。例えば「それがメリットがあるのかないのか」いわゆる理性に根ざした判断ですよね。それと極めて衝動的な「それをやりたいのかやりたくないのか」「好きなのか嫌いなのか」何の根拠もない衝動。多分子供の頃から何の根拠もない衝動に対して正直だった子供だったと思います。「嫌なものはすごく嫌だったし、好きなものは大好きだった」そういう子供でした。何故なのかわからないですけども、常に母親に「お前はもっとお利口になれ」と言われてました。頭がいいとか言うことじゃないですよ。「上手に要領よくやれ」ってことですよ。それが、僕はわからなかった。言われてることがわからなかった。どうしたらいいのかもわからなかったし。だから色んなことばぁーっと言っちゃって、誤解されちゃったりとかするんですけど、こっちとしては、非常に正直に言ってるつもりで、悪意も何もないですし、他意も何もないです。そういう風にして、自分がこれをやりたいと思う事をやってしまう。後で考える。やってしまった後に、理性を働かせて(笑)どうすればこれが収拾がつくのか考えて繰り返しているような気がします。もちろん損得感情も重要ですし、まったく感がないかと言うと考えますけども、そればかりになってしまうと何か、僕個人がですよ。何かが僕の中で死んじゃうような気がするんですよね。やっぱり好きなものは好きだし、本当、俺の友達から怒られるんだけども、もう自分が嫌だなぁと思ったら飯食ってる最中でも帰っちゃうんですね。(会場笑)「もう、本当おまえさぁ」って怒られるんですけどね。しかしながら、どうしても許せない人達がたまにいます。その性格とかじゃなくて、ひどい人達いるんです。帰っちゃう。(会場笑)その人がどんなに偉い人だとしても。そういう性分なんですね。それは人それぞれ色んな人がいるからね。そこなんです。それを曲げていくと自分が死んじゃうような気がして、しょうがない・・・。大人になんなきゃいけないところなんですけどね。(苦笑)」

—監督自身が、そういう世渡りが、そういう人が居るって事はわかってるんですよね。

紀里谷和明監督
「わかってる。」

—その上で、生き直すとしてもやっぱり今と同じようにしますよね。きっと。

紀里谷和明監督
「わかんないかなぁ。」

—おおっ

紀里谷和明監督
「今ね、宣伝チームとかがね。僕のせいで苦労してるんですよ。」(会場笑)「至るところで言いたいこと言っちゃってて話になるから。」(会場笑)「でも、人を傷つけたりはしないようには思ってる。」

—そこは、誤解がないように申し上げておきたいのは、監督は何でも正直にお話されるんですけども、誰かを意図的に、貶めようとか傷つけようとかはないですよね。

紀里谷和明監督
「俺の中ではないつもり。そんな感じでいいですか?答えになってないかもしれないですけど。」

—【観客の方】お話ありがとございました。中学生の頃、アメリカに行かれたという事ですけれども、アメリカに行かれたきっかけですとか、アメリカに行かれて、ここは日本と違うなぁとカルチャーショック受けられたことがあれば教えていただけませんか。

紀里谷和明監督
「それもよく聞かれる質問で、その学校というもののシステム、組織、体制でもなんでもいいんですけども、組織が1人1人の魂を踏みつけているような気がしてたんですね。自分が子供だったから言ってきたし、それが相手が誰だろうが「違うんじゃないですか?」って言ってきてたし、まぁ、反抗するって言われるんですけどね。体制の中ではね。で、それを言っていて、象徴的だったのは、それを作文の時間に、文章に書いて提出したところ呼び出しくらって、それを書き直せって言われたんですね。「これって、憲法違反ですよね?」(会場笑)表現の自由ですよね。教師が破っているわけじゃないですか。そういうような矛盾をいっぱい見続けていて、これはダメだと。これが僕馬鹿なんですけど、いくら僕が言おうが東京に行こうが、社会に出ようがこれが永遠に続くんだと10代の若い頃思っちゃったんですよ。とは言っても、まだ子供だから、とにかくここから逃げさえすれば、違うところに行けばどうにかなると思ってましたし、それでアメリカに行きました。でも、もちろんアメリカに行ったらもちろん凄く自由だし、「こんなに違うんだ」「こんなに自由なんだ」って凄く幸せだったんですね。ずーっとそんな幸せな環境の中育っていって、しかしながら、この歳になって、ふと見回してみるとその世界自体が体制というかがんじがらめになっているってのを見ちゃうんですよ。だから、そこから逃れられないのかなって言うには思ってしまう。そのせめぎ合いですね。既得権益との戦いですね。あっ、また言っちゃった。」(会場笑)「宣伝チームにまた怒らる、また、こういう事言うと。」(会場笑)

—いや、それは世界的にも普遍的なテーマで、世界的にどんな映画作家も色んな形を変えながら作品で描いているテーマで何も問題ないと思います。それが今後、監督の描いていく世界の中で出てくるかもしれませんよね。

紀里谷和明監督
「だから、学校という既得権益の中にいる、「教師」という既得権益に守られた人達であり、それがまた「日本」という既得権益であって、「日本語喋れる」という既得権益であったりとかだったりするわけじゃないですか。そこじゃなくて1人1人の形のないものを僕は言うけれども、その魂の自由さがとてもとても重要で尊いと思うんですね。そういう事言うと、みんな好き勝手にやってどうにもなんないじゃないかって話になるんですけど、そういう事じゃなくて、そこが人間の人間たるところじゃないかなと思うんですね。そこが芸術家という言葉もあんまり好きじゃないですけど、芸術家としてやっぱり「自由」を守らないといけないのは、「自由」というのものが何なのかという提案だったりすると思うんですね。色んな考え方であったり、見え方だったり、形であってもそうだったりすると思っています。」

—今日、監督がお話いただいた内容が、「ラスト・ナイツ」の中に色んな形は変えてますけども、ほぼ入っていると思います。今日は、映画の具体的な話はしなかったのですけども、映画をこの後、観ていただくと「あぁ、あの時してた自由の話だったり仕組みの話は、このことだったのか」と気づいていただけるような1時間になったと思います。

◆最後に監督からひと言

紀里谷和明監督
「どの映画監督もそうでしょうけど、一生懸命作りました。この為に全てを投げ出したと言っても過言ではありません。この5年間。1人でも多くの方に観ていただきたいその1点だけでございます。この作品に関わった全てのスタッフ1000人以上いますけど、みんなそういう想いで戦ってくれたと思います。この話はベースが日本の「忠臣蔵」でありますし、日本の精神と言うのが色濃く出ております。私が日本人であることも含めてですね。1人でも多くの日本の方々に見ていただきたいと。11月14日(土)公開というのは、全世界最後の国が日本ということになってます。そこの部分も含めまして、どうぞもしよかったら、観ていただきたい。そしてできる事なら応援していただきたいと思います。」

映画「ラスト・ナイト」は、11月14日(土)全国ロードショー
詳細は、公式サイトへ
http://lastknights.jp/

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