
4日、東京・新宿バルト9において、映画『日本で一番悪い奴ら』トークイベント第四弾が行われ、上司役岸谷を演じた演劇集団「ナイロン100℃」みのすけと、諸星の後輩刑事役を演じた中村倫也の二人が登壇した。MCはモルモット吉田が務めた。
◆舞台挨拶
銃器対策課【岸谷利雄役】みのすけ
岸谷役みのすけです。よろしくお願いします。
新人刑事【小坂亮太役】中村倫也
中村です。本日はありがとうございます。
白石監督
今日、見に来ていただいたみなさんありがとうございます。短い時間ですが、楽しいトークをしたいと思います。よろしくお願いします。
◆クロストーク(抜粋)
—ご覧になっていかがですか。
みのすけ:2回観たのですが、夕張にいった後の悲しみがなんだか2回目の方がグッとくる感じしましたね。
監督:夕張に行った後、諸星に若干白髪が生えたりして、脅されて相談に来るじゃないですか。みのすけさん、なんで俺こんな薬漬けの人に相談しにきたんだろうってずっと言ってましたよね。
みのすけ:こんな人に相手に相談してもしょうがないのに・・・って状態なんですね。思ったより綾野くんの薬漬けの状態が強かったのでこんな人に相談してもらちがあかないのに、なんで相談に行ったのか。
監督:綾野くんズルくて目を見なくて、眉間の中央をみてるんですって。「どういう効果あるの?」って言ってやってもらったら、異常に腹がたんですよ。聞いてんのか?って。なんでそういう事思いつくかなぁ(一同笑)。」
中村:脚本を読んだときの衝撃度がよりある種面白くなっていたのが嬉しかったです。
監督:この映画で中村くんがやってくれていたのは、「唯一の良心」みたいなところがあって。
みのすけ:次のエースだろうね。
中村:どうなんですかね。
監督:多分、染まっていくんでしょうね。
中村:新人で動物に捕食されるような側の動物のような顔をしながら最終的には染まっていくんだろうなって気がしながらやってました。撮影初日はホワイトボードのシーンでした。
みのすけ:銃器対策課はナンセンスファミリーですよね。全員が間違っていることを本気でやっている。すごい楽しかったけど、俯瞰してみるとおかしいですよ。
監督:僕あのシーンで笑いすぎてNG出しちゃって、「監督、隣の部屋に言ってください」って言われちゃった。(場内笑)
みのすけ:僕の初日は、綾野くんと獅童くんとエレベータから降りてきて「悪いねぇー僕がやるところなんだけど。顔がばれてるでしょ?」って言うところです。「はじめまして」って会った途端にエレベーターに入ってパッとあいて、導線みて2回しかやってなんですよ。ワンテイクでワンカメラでOKになっちゃって、「わぁー、この映画いい!絶対成功する!」って思いましたね。
監督:僕が1回でOKにする適当さとか?(会場笑)
みのすけ:何回もやると、ここをこうして、足をこうしようとかなっちゃっていくので、それがいい時もあるんですけどね。
監督:僕、おさまるのが嫌なんですよね。
みのすけ:その場で普通にやってる感が出てるって事をOKとするってところがいっぱいあってそこが成功の秘訣かなって思いました。
監督:嬉しいです。ありがとうございます。
—二人の起用の理由は?
監督:若干、コメディーの要素がありますので、ナイロンでいつもひょうひょうとした芝居をしているみのすけさんが好きで、なんかはまるんじゃないかと思って直感でお願いしました。
みのすけ:わりと悪い役って結構やっているので、台詞がスラスラ入りましたね。おかしいですけどね。ダメなんだけど、その人の中では理屈が通ってるって感じがしてとてもやりやすかったです。
中村:僕は、小坂自身のことも考えながら演じたのですが、諸星の若い頃と対比になりたいなと思って、そういう役割を軸に考えた記憶があります。
監督:ネットドラマ『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』で初めてご一緒したのですが、芝居が上手いのは当たり前なのですが、スケール感があるんですよね。引き出しの多さはさることながら、同じ芝居を50回やっても9割9分の確率で同じことができるのですよ。意識してます?
中村:座組にもよるのですが、映像のときには、映画とかだと違うことやるとスタッフさんに「あの役者違うぞ!」って怒られそうで。
監督:だいたいブレちゃったりするからね。どうしようかって方向性決めている時には、試してくれるのはありがたいんだけど、ある程度決まったらブレない芝居してくれる方が嬉しいんですよね。ブレない芝居って、鮮度や新鮮さを保つのが非常に難しくて、それを中村くん凄い確率で保ってくれるんですね。これって中村くん日本の役者ってこれがやれる人ってなかなかいなくて、ハリウッドで活躍する条件ってそれなんですよ。
中村:メソッドなんですね。
監督:だから、中村くんハリウッドに向いているんじゃないかな。
中村:じゃあ監督がハリウッドにデビューした時、僕が出る感じで。
監督:逆。ハリウッド俳優になって引っ張って欲しい。
中村:えー英語しゃべれねぇー
みのすけ:わかるような気がする。この落ち着き度っていうか、こういう浮わっついてないドッシリした感じが素敵ですよね。
中村:ありがとうございます。
監督:綾野くん演じる諸星が薬漬けだったこともあるけど、どっちが上かわからないところあったね。最後のもっていき方とかね。
中村:お二人とも誉めてくださって、でも、一個だけ否定したいことがあるのですが、今日のお客さん9割はみのすけさんのファンですから。(場内笑)
—綾野さんは、リハーサルの度に違う動きをしていて面白いなと思ったのですが、アドリブとかはどうだったんですか?本番で飛び出したりすることはあったのですか?
みのすけ:監督がカットかけないんですよ。その先をやるんですよ。そこから先を信じているものがあって、使われるものと使われないものがあるのですが、そうすると本能の部分で役の先を綾野くんとかは感覚でやってるからね。
監督:段取りすらないからね。
みのすけ:僕もエレベーターのシーンで、カットがかからないから椅子をバーンってやるところがあって、そういうところが逆にリアルだったりしますね。辞令渡されて夕張に行くとき、中村くんと僕が、綾野くんが何かやろうとするんですね。それを「まぁまぁまぁ気にしないで」って。
中村:「何、見てんだよ」って綾野くんが言ってずっとやってましたよね。
監督:そこは映画の中ではばっさり切っちゃんですけどね。(笑)綾野くんそういうイレギュラーを起すところがあって面白くて、そこを期待しているところもあります。
中村:台本以上に絡んでくれたりしました。「名前なんだっけ?」とかミネラルウォーターにかけられたりしてくれましたね。
◆最後のあいさつ
中村:本日はありがとうございます。こんな映画日本であんまりないと思います。バラエティに飛びつつも力強い作品になっています。日本人ですから、いろんな人に見てもらいなと思います。ありがとうございました。
みのすけ:原作を初めて読んだときは、こんなものを映画にしていいのか?まずいんじゃない?と思ったんですけど、でも、台本ができたときに、前半笑えて。最近、こういうテイストの映画がなくなっちゃってると思うんですよ。悪いことやエロがいまは封印されていて、昭和から映画を観てきている人間は物足りないと感じる映画が増えてきている。この映画を観て、『蘇える金狼』を思い出しました。この作品が昔の映画を観るきっかけになったらいいなと思います。ありがとうございました。
監督:みのすけさんもおっしゃってましたが、酷いものを見ることの快感ってあって、そういう映画を作りたかったです。個性豊かな実力派の俳優のみなさんに出演いただいたので力強い映画になったと思います。まだまだ、日本映画やれることあるじゃないかと思います。ぜひたくさんの人に観ていただきたいです」
みのすけ:今、公開している映画で、いちばんじゃないですか?(場内拍手)抜きんでていると思いますよ!とみのすけの力強い絶賛の言葉でその日のイベントは終了となった。
映画『日本で一番悪い奴ら』は、全国公開中!
最新情報は、『日本で一番悪い奴ら』公式サイトへ
映画『日本で一番悪い奴ら』
出演:綾野剛、中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス) 、ピエール瀧
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
音楽:安川午朗
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫)
配給: 日活
©2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
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